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メイド・主・メイド(中編②)

ミスして前回の話を消してしまい、新しい話の更新が遅れました。

思っていたとこまで進めずショックを受けてます…(涙)

「暗~い顔して何してんの、リナリア♪」



「……フレイ、おはよう」



剣同士がぶつかり合う闘技場の中で、辺りの歓声に負けないほど元気な声で話しかけて来た親友に対して挨拶を返したが、苦虫を噛み潰したかのような顔をされた。



「リナリアっ!!何その顔!!せっかくの綺麗な顔が台無しじゃない!!シリル先生のお手伝いしなくてもよくなったんでしょ?なのになんでそんな元気ないよの!!」


「まぁ、いろいろとあって………」



曖昧に言葉を濁して闘技場の中央、激しく戦っている騎士科の生徒たちに軽く視線を向けた。



「……やっぱ2階席のほうが試合がよく見えるわね。さすが年に1度の闘技会だけあってレベル高いわ。今の試合は何回目くらい?」



フレイは何か言いたげな仕草をしたが、こちらの気持ちを察してくれたのかそれ以上私のことに触れないで話をそらしてくれた。

そんな親友の気遣いに感謝しながら再び試合に意識を向けた。



「今のは準決勝1組目、次の試合が私の出る2組目。一応、騎士科トップ『花冠の聖騎士』の称号のお陰でシード権があるから次が初試合よ」



「あら、ラッキーじゃない!!体力温存できてるから他の生徒より有利で♪」



――――だったらいいんだけどね。



そう口にすることは出来なかった。


毎年この闘技会での活躍は重要で、もし試合に負けでもすれば直ぐ様トップの座を奪われ称号も返上しなくてはならなくなる。



実力がすべて、力こそ強さの象徴と考える騎士科の生徒にとってはまたとないチャンス。だからこそ本音を言えば1つでも多くの試合をこなしていき、少しでも場の雰囲気に慣れておきたいところなのだが……


……学園に入学したての頃は上を目指しがむしゃらに剣の腕を磨いたが、今は下から追われる立場。



気合いを入れてこの闘技会に望みたかったからこそ、朝はレナードの部屋に行かなくてもいいようにマーサさんに取り計らってもらったのだが、結果として4日ほど前から朝も夕方もレナード元へ行かなくてもよくなった。



都合が良かった。

雑事に時間を取られることなく、集中して試合に望める。

そう思っていたのに………



頭の中で何度も思い出されるレナードの姿。

その横には寄り添うように立つカリーナ……


私の灰色の髪の毛と違って金色の髪を持つ彼女ならレナードの隣に並んだら1対の絵画のようだろう。



それはさぞかし見る者の目を楽しませるだろうが、私はそれを見たくはない。


「……私って意外に嫌な女だったのかな?」



ポツリと呟いたその一言に激しい反応を見せたのはフレイだった。


「イヤイヤイヤ、リナリア貴方大丈夫?貴方が嫌な女だっていうなら世に生きるほとんどの女が嫌な人間ってことになるわよ!!っていうか、いい加減気になるから何があったか話しなさい!!」




首をぶるぶる振りながら顔を真っ赤に染めたフレイはその小柄な体型と、髪が茶色で短めだということもあって小さなお猿さんに見えた。



どこかほっこりした気持ちになった私は、都合が悪いところはそれとなくぼかして、先日あったカリーナとのことを話した。



「なにそれ最悪!!いくら自分がその仕事のプロだからって言ったって言い方ってものがあるじゃない!!」


「フレイ、でもそれは私が中途半端な仕事をしていたから彼女が怒ったのであって、仕事を外されるのも自業自得だと思うし………」





「甘いっ!!甘すぎる!!!!大体その女は日頃リナリアの周りに集まってくる女の子たちとは違うのよ!!あの子達は貴方のファンだから特に害はないけれど、女なんて『あること』が関わってくれば鬼でも蛇にでもなれるのよ!! 」



……なんだその表現は?



そう疑問に思ったが今のフレイには何も口が挟めない。


瞳をギラギラさせて至近距離にまで顔を近付けてきたフレイは何故か鼻息も荒い。



「リナリア、よ~~~~~く聞きなさい!!恋愛偏差値0の貴方にはっきり言ってあげる!!女はね男が絡むと豹変するのよ!!特にそれが自分が気になっている相手だと尚更ね!!!!」




恋愛偏差値0……



確かに今まで誰かを恋愛という意味で好きとか思ったことなかったけどさ、地味に傷付くよ……




ある意味説得力があるフレイの言い分には何故か苦笑を覚えると共に、少しだけその明るさに元気づけられた気がした。



「あっ、勝負が決まったみたいよ!!」



突然沸き起こった歓声に引かれるように見れば、闘技場の真ん中に黒髪の男子生徒が立っていた。


その横では救護班に運ばれていくボロボロになった赤毛の男子生徒がいた。



「決勝に行くのはやっぱりガイアスか………」



古くから続く貴族の名家の次男坊であるガイアスは新入生ながらも確かな実力をもっていて勝ち上がってくるだろうなとは思っていたが、まさかここまでとは……



だが彼は貴族だということで何かにつけて平民出身の生徒たちを虐げたりする困った1面を持つ生徒でもある。

ここは1度、その高い鼻を叩きおってやらないとね………



「決勝に進む相手も決まったことだし、私も気分を入れ換えなくちゃね」


「こらこら、決勝の前に準決勝の相手が居るでしょ。それに勝ってからじゃないとガイアスとは戦えないわよ」



苦笑いを浮かべるフレイには私の考えていることが手に取るようにわかっているのだろう。

勝利に酔いしれるガイアスを気の毒そうな視線を送っている。



「あら、フレイ私が準決勝で負けるとでも思っているの?……私は勝つわよ、準決勝はもちろん決勝でだって負けたりしない」






恋愛偏差値0でも私は誰が相手であろうと負けたりしない!!










次の話も今日中に更新したいと思います。

今回の章は思っていたより長くなってしまい、自分の不器用さを改めて自覚しました★

皆さんに楽しんで読んでいただけたら嬉しいです☆

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