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メイド・主・メイド(中編)

すみません!!間違えてこの回の話を消してしまいました(涙)

急いで書き直しましたが前回の分と若干雰囲気やセリフなどが違います。


翌日レナードの部屋へと行く前にマーサさんの元へと向かった私は、そこに居た人物に目を奪われた。



白い肌、肩のすぐ上のあたりで切り揃えられた赤みがかった金色の髪。


吸い込まれそうになるほど深い碧色の瞳。



同じメイド服を着ているはずなのに彼女が着ている物と私のとでは別の服に見えてしまう。



「リナさん、こちらに居るのが新しくレナード様の側付きメイドになるカリーナ・メルディアンです。細かい引き継ぎなどをしてあげてね」



「かしこまりました」



一礼してカリーナの方へと目を向けると興味津々な表情でこちらを見ていた。



「リナさんですよね、マーサ様から大体のお話は伺っております。カリーナ・メルディアンと申します、どうぞよろしくお願いします」



「リナです、こちらこそよろしくお願いします。早速ですがレナード様の部屋へ案内しながら簡単に引き継ぎの内容をお話しますね」



マーサさんの部屋から退出した私はこっそり溜め息をついた。

正直、昨日のことがまだモヤモヤしていてレナードと顔が合わせづらかった。



でも仕事は仕事だし、しっかり引き継ぎしなくちゃ!!


そんなことを思っていると、後ろを歩いていたカリーナが立ち止まっていることに気付いた。



――――どうしたの?



そう声をかけようとして言葉が出なかった。



目の前のカリーナが笑みを浮かべてこちらをじっと見つめていた。


「リナさん、私はこの学園のメイド科を卒業して以降はずっと王宮のほうでメイドとして働いていました。貴方は今までメイドの経験は?」



「……私はつい最近までキッチンメイドとして働いていましたが、もともとはこの仕事の経験はありません。……学園のメイド科にも通っておりません」



メイド科には通ってないけど騎士科には通ってます、なんて口が裂けても言いませんよ。



そんなことが周りにバレた日にはどうなることかっ!!



「……マーサ様の言う通り、本当に素人なのね。部屋付きのメイドとして行っていた仕事内容をお聞きしてもよろしいかしら?」



「えぇ、…朝はレナード様が起きられる前に簡単な掃除を済ませて朝食をお出しします。朝は大体ミルクティーと具材を挟んだサンドイッチを召し上がっていただいております。夕方は朝出来なかった分までしっかりと掃除を終わらせ、いつでも摘まんで食べられるようにお菓子を焼いてテーブルの上に準備しておきます。あとは………」



先程まで浮かんでいた笑顔が完全に消え、無表情になったカリーナに一瞬怯んだが、これも引き継ぎに必要なことなのだろうと思い大体の1日の流れを告げた。




「……呆れた、貴方それでメイドの仕事をしていたと言えるの!?そんなの素人に毛が生えた程度のことしか出来てないじゃない!!それでメイドを名乗られたらこちらが迷惑だわ!!」



「――――!!」



痛いところを突かれた。

確かに馴れない仕事で十分なことは出来ていないと自覚もあった。

けれどレナードは何も言わない……



何か言うとしても『自分の専属メイドになれ』と言ってくるくらいなものだ。


……だからこそ調子にのってしまったのかもしれない。



自分の家を1度めちゃくちゃにしてしまった魔を操る者。

レナード本人が関わったわけではないのは百も承知だが、長年の魔導士嫌いはどうしようもない。


学園に入ってからは自分たち騎士科の生徒たちを脳筋だ、体力しか取り柄がないと蔑む魔導科の生徒たちにどうしようもない嫌悪感を抱いた。


そしてそれは必然的に魔導科の生徒たちのトップである『白銀の魔導士』レナード本人にも向けられた。



なんで嫌いな奴のために働かなくてはならないのか!!そんな風に思ったこともある。


……カリーナにはそんな私の心の内が見えていたのかもしれない……



何も言い返せず、下を向き黙りこむ私の視界の端でカリーナのメイド服のスカートが動いた。


気付くと前を歩いていた私を追い越し1人颯爽とレナードの部屋の方向へと歩いて行ってしまった。




1人取り残された私は、人の気配がない廊下の中央でボンヤリ立ち尽くすしかなかった……







やっと気を取り直した私がレナードの部屋へやって来ると部屋の中央に置かれたテーブルの上に豪華な朝食を並べているカリーナが居た。




黄金色に光るバターが塗られたパンにフルーツ、スープ、温かい玉子料理に目を奪われていると寝室のドアから制服に着替えたレナードがやって来た。




「おはようございます、レナード様。こちら昨日言っておりました新しく側付き兼護衛のカリーナと「さっき自己紹介されたから知っている」」



話の途中なのに言葉を遮ったレナードは袖口のボタンを留めながら、豪華な朝食が並ぶテーブルの前に腰を下ろした。



「……リナ、昨日君から朝だけ来れなくなると聞いていたが夕方もしばらく来なくていい……」



――――カリーナが居るしな、



一瞬、何を言われたのかわからなかった。


言葉の最後に小さく呟かれたセリフに頭が真っ白になってしまう。



視界の隅に不敵な笑みを浮かべてこちらの状況を愉しげに眺めているカリーナの姿が見えた。




レナードの顔はどうしても見ることは出来なかった……












近日中に次話更新したいと思います☆

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