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幽霊社員
お借りしたお題は「幽霊社員」です。
杉村は駅から会社へ急いだ。
(こんな理由で遅刻したくない!)
ネクタイを緩め、上着のボタンを外して形振り構わず走った。
「おはようございます、先輩」
誰かが声をかけた。
「先輩?」
一瞬自分の事ではないと思ったが、周りに誰もいないので振り向いた。
「まだ間に合いますよ」
そこには女子社員がいた。
杉村は見覚えがない。女子社員は苦笑いして、
「武藤綾子です。存在感なくて幽霊社員とか言われてます」
杉村は顔を引きつらせた。