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違和感
お借りしたお題は「違和感」です。
杉村はデートに上司が同席するという途轍もない違和感の中、堪えに堪えた。
「では」
嫌味ったらしい笑みを浮かべて矢那は去った。
「ごめんなさい、杉村さん。どうしても君の彼氏が見たいって言われて」
恵子が頭を下げると、杉村は、
「仕方ないですよ。上司が相手では……」
自分の身に置き換えて考えると、恵子の立場もわかった。
二人はその後は楽しく食事をできた。
(あの人のお陰で、緊張しなかったような……)
杉村はふと思った。