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補助金
お借りしたお題は「補助金」です。
吾妻恵子の事を何も知らない杉村三郎は浮かれていた。
(僕にもやっと彼女ができた!)
次の金曜日が待ち遠しい杉村である。
「すっぎむらくん」
先輩OLの律子が猫撫で声で言った。
「何ですか?」
ご機嫌な杉村は警戒せずに尋ねた。
「実はさ、私、ピンチなのよ。給料日までお金が保たないの」
嫌な予感がした。
「そこでさ、補助金を頼みたいんだけど」
「ひも付き補助金でもよければ、出しますよ」
杉村はジョークで応じる余裕を見せた。