28/143
くもり止め
お借りしたお題は「くもり止め」です。
杉村と恵子は、美咲の心遣いに感謝した。
「後は若い人にお任せして」
美咲はニヤつきながら部屋を出て行った。
「あ」
また沈黙が訪れる。
「出ませんか?」
杉村が思い切って言った。
「はい」
恵子は俯いて応じる。二人は部屋を出て、階下に降りた。
二人は次の約束をして別れた。
(恵子さん、想像通りの素敵な人だ)
杉村は電車に飛び乗りながら思った。
「わわ!」
通勤中だけかける眼鏡が見えなくなったので、慌ててくもり止めを探した。