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常に持ち歩く。
お借りしたお題は「常に持ち歩く。」です。
須坂は綾子に礼を言った。すると綾子は、
「これでやっと須坂さんに借りを返せました」
「どういう事?」
須坂が尋ねると、
「入社初日に須坂さんに助けてもらったんです」
綾子の話によると彼女がロビーでパニックになっていた時、声をかけたのが須坂だった。
「家に資料を全部忘れてしまって……」
今の綾子からは想像がつかない初々しさだと須坂は思った。
須坂がくれた飴を舐めて落ち着いたのでそれを常に持ち歩く事にしているらしい。