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明け方の街
お借りしたお題は「明け方の街」です。
「私は隠し事はしていないぞ」
蘭子父は髪を押さえながら言った。すると蘭子母は、
「あら、お父さんの事を言ってはいないわよ」
ニヤリとして返す。
蘭子父はムスッとした顔のまま、運転を続けた。
須坂は思った。
(一晩中飲んで、明け方の街を歩いた時より頭が痛い)
蘭子達のバトルに気が滅入りそうなのだ。
(僕はどうすればいいんだろう?)
嫌な汗が全身から噴き出した。
「そこのコンビニに寄って。飲み物を買うから」
蘭子が言った。