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去年の水着
お借りしたのは「去年の水着」です。
須坂は慌てて車庫に行き、
「須坂津紀雄です。よろしくお願いします」
父親は須坂には見向きもせず、
「お母さん、蘭子、早く乗りなさい」
光子と蘭子はニヤッとして後部座席に座った。
「やだ、お父さん、どうして私の去年の水着がここにあるの?」
蘭子が見せたのは豹柄の大胆な物だった。
「し、知らんよ!」
蘭子父は焦っているようだ。
蘭子が急かすので、須坂は仕方なく助手席に座る。
運転席で、蘭子父がムッとしているのがわかった。