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ルアー
お借りしたお題は「ルアー」です。
翌日、須坂はドキドキしながら出勤した。
「おはよう、つっくん」
ロビーで蘭子に会ったので顔が真っ赤になる。
「昨日はありがとう。情熱的なつっくん、素敵だったよ」
蘭子が小声で言った。
「あ、うん」
須坂はロボットのように歩き出した。
「次の日曜日、両親とルアーフィッシングに行くんだけど、つっくんも行く?」
蘭子の言葉に須坂は驚いた。
「僕が行っていいの?」
「父が誘いなさいって言ったの」
汗が滝のように出る須坂である。