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そうなのか?【24】


「お口に合わなかったですか?」

 陽の傾いてきた夕刻。

 俺はセディスの家の食卓に座り、夕食をごちそうになっていた。と、いうよりも毒々しいドリンクと緑緑しい野菜しかないのだが。


 え?

 俺は呆然と向かいに座るセディスを見る。


 セディスが首を傾げて尋ねてくる。

「あの、さきほどからずっと黙られていますが。何か考え事ですか?」


 俺は慌てて首を横に振った。

 い、いや違うんだ。ほんと何でもない。

 そしてドリンクを一気に喉へと流し込む。

 味は……推して知るべし。


 俺の隣で大盛り野菜をガツガツ食べるデシデシとモップとスライム。

「魚が入っていたらもっとおいしいデシ」


 オイ。


 セディスが笑う。

「たしかに肉や魚がサイドにあればいいのですけど」


 サイドか。結局、野菜が主食であることに変わりはないんだな。


「Kは野菜食べないデシか?」


 いや、食うよ。今から。


「トマトもらうデシ」


 デシデシが横からひょいとトマトを盗んで口に放り込む。


 あー! 俺のトマト盗りやがったな!


「早く食べないからデシ。食事はいつも争奪戦デシ」


 腹立つ猫だな。──ってモップ! 何でお前まで俺の野菜食べてんだ!


『育ち盛りなんだ。ほっといてやれ』


 ほっとけるか! これ以上何に育つっていうんだ!

 ……っと。無意識に口に出しておっちゃんに突っ込んでしまった俺は、慌てて口を塞いだ。


 セディスがクスクスと笑う。

「一人で賑やかですね、Kは」


 そ、そうか?


「もし奈々がここにいればきっと喜んでいたでしょう。彼女は向こうの世界で食事する時は勉強の合間に一人でお弁当を食べていたそうですから」


 え?


「野菜のおかわりなら、まだたくさんありますよ」


 いえ。野菜はもうお腹いっぱいだし──

 ぎゅるると俺の腹が鳴る。

 赤面して腹を隠す俺を見て、セディスがまた笑う。


「そうですよね。たしかに食事には肉も必要です。待っていてください。もしかしたら下の貯蔵庫に保存されたものがあるかもしれません」


 そう言って、セディスは席を立った。



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