表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SR:B 2 ─ そして世界は狂い出す─ 【裏版】  作者: 高瀬 悠
【第一章 第二部】 現実世界編
1/41

夢だよな?【1】


 赤い炎に包まれた城の中で、俺は手持ちの剣を感情任せに床に突き刺した。

 殺せる者はもういない。

 ただ一人、慈悲を乞い続ける王を残しては。


「た、頼む。命だけは助けてくれ。お前の国を狙ったのは我だけではない。巫女を殺したのも我ではない。全ては仕組まれたんだ。我は何も悪くない」


 奴はどこにいる?


「奴ならもうここにはいない!」


 わかりきった答えを返され、俺は苛立たしげに奥歯を噛み締めた。怒りのあまり自制が吹っ切れ、獣鳥グリフォンを召喚させる。

 グリフォンは俺の意のまま王へと襲い掛かり、王の肩に喰らいつく。

 王は激しく悲鳴を上げた。


 言え! 奴はどこに行った!?


 王は泣き叫びながら答える。

「セディスだ! あやつが全てを知っている!」


「もうそのくらいにしておけ」


 ふいに背後から声をかけられ、俺は振り返る。

 そこに居たのはセガールだった。


 何しに来た?


 俺の問いかけにセガールが答えてくる。

「黙って国を離れるなと言っておいたはずだ。黒王こくおうがお前を呼んでいる。すぐに戻れ。後のことは俺が始末しよう」


 俺は首を横に振った。

 この世界を制するより先に、俺にはやらなければならないことがある。


 セガールが鼻で笑う。

「復讐か……」


「た、頼む!」

 王が俺の足に必死になってしがみついてくる。


「我はお前に全てを話した。我はあの戦争に一切関与していない。だから、どうか命だけは助けてくれ」


 俺は冷たくその王を見下し、そして──



 ◆



 突然ラップ系の洋楽が、けたたましい大音量で俺の頭の中に鳴り響いた。

 慌ててベッドから飛び起きる。

 それと同時に流れていた音楽も頭の中からフッと消えた。

 あまりの突然のことに俺の心臓は激しく打ち鳴り、目はギンギンに冴える。

 もう二度寝は望めない。

 さっき見ていた夢さえも一瞬で記憶から吹き飛んでしまった。


 今、何時だ?


 机上に置いていた時計に目を向ければ、時計は朝の七時を示していた。

 おっちゃんが頭の中で清々しく挨拶してくる。


『おはようさん。悪いな、朝っぱらから。新機能が追加されたみたいだから色々試していたんだ。今度から俺を呼び出す時の音をこれに変えてみようと思うんだが、お前どう思う?』


 俺は無言で手短の枕を壁に叩きつけた。


 ──夏休みが終わるまで、あと十日。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ