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くらげの足跡は瑠璃色の空へと続く。  作者: 深海かや
第一章 出会いの日。赤く、流れて。
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第四話

 白いカーテンから溢れた陽の光がほんわりと橙色に染まり始めた頃、6限の終わりを告げるチャイムが鳴った。今日も長い長い一日が終わった。だが、いつもより長く感じたのは一刻も早く二人に彼女のことを話したかったからだろう。


 チャイムが鳴ったと同時に賑わいをみせる教室。クラスメイト達の笑い声や机に椅子を仕舞い込む音で溢れる中、僕は急いで机の中から教材を抜き取り、鞄に放り込んだ。


 静香は既に帰り支度を済ませていたようで席から立ち上がると目があった。入口には拓馬が薄っぺらい鞄を肩からさげて気だるそうに立っていて、僕達は横並びになって昇降口まで降りていく。


 開け放された玄関からは乾いた空気と共に夏の香りが吹き抜け、蝉たちは産声をあげるようにけたたましく鳴いていた。


 靴を履き替えていると、

「ねぇ、変なこと聞いていい?」と静香が呟いた。


 なんとなく嫌な予感がした僕は「嫌だ」と言った。


「響って女の子とキスとかしたことあるの?」


 やっぱりそういう質問か。


「嫌だって言っただろ?……ない!」 


 静香の隣では、拓馬がくっくっと歯を鳴らすような笑い声をあげていて、余計に腹が立った。


「やっぱり!響ってそういうとこ可愛いいよね?」

「こいつは中学の時から俺とばっかりつるんでたからな」

「そんな感じっぽい。可愛い顔してるからモテそうなのに、女の子に全く興味ない感じだよね。だからこそ、そんな響を好きにさせた女の子に余計に興味湧く!」

「だよな。分かる分かる」


 勝手に盛り上がり始めた二人を置いて僕は玄関まで颯爽と歩みを進めた。これ以上聞いてると、二人の脇腹を肘で小突いてしまいそうだ。僕だって女の子に興味が無かった訳じゃない。ただどう接したらいいか分からなかった。それに、互いに好意を示し合って仮に付き合ったとしても、その先に何があるって言うんだ。


 どうせ退屈な毎日は変わらないじゃないか。


 そう思ってた。


 そう思ってた、はずだったんだ。

 今日、彼女と出会うまでは。

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