第十二話
あれから一週間が経った。あまりにも突然に悲しい出来事を共有してしまった僕たちは、十六年という短い人生では乗り越える術を見出すことが出来ず、一度も会うことがなかった。
きっと顔を合わせれば、余計に辛くなってしまうということが分かっていたからだろう。
小太郎は、僕の家に来たばかりの頃は落ち着かない様子だったが、今ではすっかり馴染んでくれたように思う。母も父も犬好きだったこともあり、おばあちゃんの代わりに愛情を注いでくれている。きっと小太郎からすれば僕たちの愛や想いは、おばあちゃんから向けられるそれに比べると到底及ばないのだろうが、それでも僕たちは代わりになれるように愛情を注ぎ続けるしかないのだろう。
毎日誰かしらが呟き、忙しなく動いていた僕たち四人のグループLINEも、この一週間の間は一度も動くことがなかった。でも、心配だったこともあり海月とだけは個人間で連絡はとっていた。海月に聞いた所によると、拓馬と静香も互いに連絡は取りあっていたらしい。
そのグループLINEが突然動いたのは、今朝方のことだ。
拓馬のアイコンから突然放たれたのは、明日四人で花火大会に行こうというものだった。
夏休みも残り一週間。最後の夏の思い出を作るには花火大会はびったりだと僕も思った。海月と静香もその案に乗っかり明日の夕方から待ちあわせすることになった。
おばあちゃんが亡くなってから僕の胸にぽっかりと空いた穴は未だに埋まることはない。この悲しみを乗り越える術を持たない僕は答えを求めて母に一度相談もしてみた。どうすればこの悲しみを乗り越えることが出来るの?と僕が質問をすると、母は陽だまりのような笑顔を浮かべ、「ただ今までと同じように日常を過ごすことよ。」と答えてくれた。
僕は母から貰った言葉を胸の中に落とし込もうとしていると、続け様に温かい言葉が降ってきた。
「そうすることで、幸せや喜びが少しずつその穴を埋めてくれる。おばあちゃんもあなたが立ち止まってる姿は見たくないはずよ。だから、毎日を一生懸命に生きなさい。」と言って僕の頭にそっと手を載せた。
きっと母の言ってくれた通りなのだろう。残された僕たちは変わらず生き続けるしかない。それなら、少しでも幸せに過ごしている姿をみせてあげよう。
その一歩を踏み出す為にも、花火大会はぴったりだと思った。
僕は、ぎゅっと携帯を握りしめた。




