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くらげの足跡は瑠璃色の空へと続く。  作者: 深海かや
第三章 夜空に咲く花、赤く乱れて、青く散って。。
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第六話

 「もしもし。海月、今大丈夫?」

 「うん」


 電話越しに聞こえる海月の声はいつもとは違って暗く淀んでいる気がした。

 やっぱり何か悩んでいるのだろう。


「今日、海月が帰ったあとおばあちゃんと話したよ。小太郎は預かることに決めた!お母さんも納得してくれたから」

「そう……良かった」


 僕の投げ掛けた言葉は海月の元に辿り着く前に力尽きているかのように、いつものように会話が続かない。


 もう切り出すしかないんじゃないか。

 そう思った次の瞬間には、ずっと疑問に思っていたことを思わず口にしてしまった。


「海月ここ最近何か悩みでもある?僕なんかに解決出来るかどうか分からないけど、もし何かを抱えているなら話してくれないか?僕は海月の力になりたいんだ!」


 言い終えてから、後悔した。おばあちゃんにも、母にも、無理に聞き出すような真似をするなと、ただ傍にいてあげるのと、言われていたのに、ついに聞いてしまった。


 僕と海月の間に沈黙という名の無言の間が生まれた。かすかに海月の呼吸音が聞こえてくるだけで、返事はない。


「………海月?」


 もう我慢することが出来ず、そう問いかけると。


「明日、16時くらいから会える?行きたい所があるの。」


 ようやく、海月の声が電話越しに僕の鼓膜に触れた。


「分かった、16時だね」

「うん、いつもの駅のホームで待ちあわせね」

「分かった」

「それじゃあね。ばいばい」


 型にはめたような電話で最後は終わり、画面に映る通話終了という文字が消えていくのを、僕はぼんやりと眺めた。



 今日は、日記を書く気になれない…。

 ページを開いては、また閉じて。ただ、それを繰り返すだけで、一時間が経った。


 自分が憎い。何も出来ない自分が憎くて仕方ない。ただ、みてることしか出来ないなんて辛いよ。辛すぎる。


 駄目だ…。やっぱり書けない。

 涙で次のページまで濡れちゃうから今日はこれで終わり。この文字だって、明日になったら消えてるのかな。

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