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くらげの足跡は瑠璃色の空へと続く。  作者: 深海かや
第一章 出会いの日。赤く、流れて。
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第二話

 彼女のせいで。と、言っては駄目かもしれないが、始業時刻には30分程遅刻してしまった。既に授業を始めていた担任からは咎めれたが、自殺しようとしていた人を助けていました、なんて言って変に目立つのも気が引けたので「寝坊しました。すみません」と頭を下げた。


 「次からは気をつけるように」と言って、担任は中断していた授業を再び再開し始めた。その声に数人のクラスメイト達の笑い声が混じる中、僕は颯爽と歩いていく。窓際の最後列の席が僕の席だ。席につくと同時に頬杖をついて窓辺に視線を向けた。


 窓の向こうでは、一枚のキャンパスに描いたような景色が広がっている。大地から沸き立つ煙のような入道雲に、澄み切った青い空。夏の日差しを受け止めた校庭は煌めき、その反射した光は僕の網膜に焼き付き眩ませる。


 目の前に広がる何もかもが美しくみえた。こんな気持ちになれたのはいつ以来だろう。心の中は今日の空みたいに晴れ渡っている。


 目を細めながらぼぅっと窓の向こうに視線を送り続けていると、頭に何かが当たり、かさりと音を立てて地面に落ちた。


 足元に目をやり、それがくしゃくしゃに丸められた紙だと分かる。隣の席からくすくすと笑い声が聴こえてきて、僕はその紙を拾い上げて広げた。小さく丸みを帯びた字で『よっお寝坊さん』と書かれた紙を再度くしゃくしゃに丸め、投げつけてきた本人に投げ返した。


「痛っ、響が遅刻なんて珍しいね」

「うるさい、ちゃんと前見て授業聞けよ静香」


 ダークブラウンに染まった髪を静かに揺らし、子供みたいに無邪気な笑顔を溢す彼女は麻生静香(あそうしずか)。僕がこの学校で心を許せる数少ない友人の一人だ。


 くっきりとした大きな目以外、全体的に小さめな顔のパーツはどこか小動物を思わせる。いつも溌溂としていて女子男子共に分け隔てなく接し、休み時間になれば男子の遊びにも混じったりする。まさに天真爛漫という言葉が当てはまるんじゃないだろうか。


「実は寝坊した訳じゃないんだ。今日は信じられない出来事が起きた」


 僕が囁くように呟くと、静香は何度か目を瞬きし首を傾げていた。

 

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