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三題噺もどき5

眠る

作者: 狐彪
掲載日:2026/02/18

三題噺もどき―はっぴゃくにじゅうなな。

 




 目の前で煌々と、スマホの画面が光っている。

 寒くて頭までかぶった布団の中は、足先以外は温かくなってきた。

 末端冷え性のせいか、足先だけはいつまでたっても冷えたままだ。

「……」

 電気の消えたくらい部屋の中で、スマホをいじっている。

 外は、美しい夜空が広がっている頃だろう。

 家の中は、しんと、静まり返っている。

「……」

 母は、だいぶ早い時間に眠りについた。

 夜の10時を過ぎたあたりから、大抵眠い眠いと言いだす。

 じゃぁ寝ればとしか言いようがないが、まぁ、家事やらなにやらやることがあるらしいので、言わない。出来る事があればするが、私も妹たちも夕食を終えれば、スマホをいじるか自室にさっさと戻るので……まぁ、申し訳ないとは思うが、下手に手を出してやり直しとかされても嫌だし。ただの言い訳だが。

「……」

 妹たちは、どうせまだ私と同じような状態だろう。

 それとも寝落ちしただろうか……隣の部屋から幽かに声は聞こえてくるが、起きているのか否か。寝落ちしたうえで動画を流しっぱなしなら、たたき起こすが。

 うるさい状態では私は寝れない。わずかでも話し声が聞こえると気になって仕方ない。

「……」

 まぁ、まだ私も寝るつもりはないし、時間もそこまで遅いわけではないので、一旦は放置で良いだろう。

 さすがに、深夜1時とかになったら考える。まだ11時半くらいだろう。

「……」

 と、思ってスマホに表示されている時計を見ると。

 もうとうに、2時を回っていた。

 ……眠気も通り越して、スマホをいじり続けた結果がこれだ。

 明日、と言うか今日もいつも通り学校があるのに。

「……」

 寝るつもりはなかったが、寝なくてはいけなくなった。

 さすがに睡眠不足状態で学校に行くのは……大抵毎日の事だが、最近続きすぎている気がする。昨日も、なんだかんだと2時くらいに寝たはずだ。時間を記録しているわけでもないので分からないが。

「……」

 まぁ、一旦は、スマホを置いて、目の前の明かりを消す。

 それですぐ眠りにつけるかと言えば、そういうわけではないので。

 眼を閉じ、横向きになっていた体を、仰向け状態にする。

「……」

 隣から聞こえていた声も、消えていた。気のせいだったのか、本人が気づいたのか。まぁ、起こしに行く手間がなくなってよかったという事で。

 さっさと眠らなければ。

「……」

「……」

「……」

 しかし、そう思う程に、眠れなくなるのは、人間の面倒なところだと思う。

 どうして、こういう時に限って、不安に襲われたり、ネガティブ思考に走ったりするのだろう。何も考えられずに、意識を失うくらいに寝落ちできた方がいいのに。

「……」

 頭の中をぐるぐる回る不安に、一旦区切りをつけてみようと。

 眼を開く。広がるのは、真っ暗な天井で、灯り一つない。もう少し幼い頃が豆電球がないと眠れなかったのに、いつの間にか真っ暗じゃないと眠れなくなっていた。

「……」

 もう一度、眼を閉じ、眠りにつく準備をする。

 意識的に、思考の渦をとめて、今日……昨日のことを思い出す。

 あの子と、話したこととか、あの子に、貰ったお菓子の事とか、あの子に、お菓子をあげたときの事とか。

「……」

 中学の時の事とか、あの子を余計なことに巻き込んでしまった事とか、あの子に不愉快に思われてしまったかもしれない事とか、あの子が告白を受けている所を見てしまった時のこととか。

「……」

 パチ―と目を開く。

 眠れそうにもない。

 枕元に伏せて置いたスマホを見れば、もう30分程経っていた。

「……」

 もういっそのこと、眠らずにいようかと思った。

 このまま、思考がぐるぐると回るだけなら、何も考えずにスマホをいじっていた方がいいような気がしてきた。

「……」

 もういいか。












 お題:不安・夜空・ネガティブ

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