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転校生は俺だけを覚えていた。  作者: RISE
揺らぐ日常
7/12

ep.7 白い線の向こう

通学路で見つけた、不自然に揺らぐ白い線。

それは夢と現実を繋ぐ“境界”だった。

「絶対に踏み越えちゃだめ」と警告するハルカ。

しかし夜、白い線は静かに俺の家へ向かってくる――。


朝、通学路の途中。

ふと足元を見ると、横断歩道の白線のひとつが、妙に眩しく見えた。

他の線と違い、表面がわずかに揺らいでいる。


「……また夢の、あれ……?」


触れようとした瞬間、視界が一瞬だけ暗くなった。

気がつくと、白線はただの舗装に戻っている。

通学途中の人たちは、何事もなかったかのように歩き続けていた。


 


***


 


放課後、ハルカにこのことを話すと、彼女は黙り込んだまま鞄を握りしめる。


「……それ、夢の中で見たのと同じ?」


「たぶん。……いや、同じだ」


ハルカは周囲を見回し、小声で言う。


「見つけたなら、絶対に踏み越えちゃだめ。

 そこから先は、こっちじゃないから」


「こっちじゃない……?」


質問しようとした瞬間、教室のドアが勢いよく開いた。

クラスメイトの佐伯が顔を出し、無邪気に笑う。


「おーい、二人とも帰るぞ!」


だが、ドアの向こうの廊下には、影がひとつもなかった。


 


***


 


夜、自室の窓から外を見下ろすと、アスファルトに長い白い線が浮かんでいた。

それは街灯の光でも、道路のペイントでもない。

ゆらめく線は、ゆっくりとこちらに近づいてくる。


その瞬間、スマホが震えた。

画面にはたった一言だけ。


《見つかった》。


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