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転校生は俺だけを覚えていた。  作者: RISE
出会いは二度目まして
1/12

ep.1 転校生は、俺の名前を知っていた。

普通の高校生、結城ユウトのクラスに新しい転校生・一ノ瀬ハルカがやってきた。

誰も知らないはずの彼の名前を知っている彼女は、なぜか特別な反応を見せる。

周囲の記憶からは消えてしまっている彼女の存在。

そして、ユウト自身の記憶も次第に曖昧になり始める。

「君は、いったい何者なんだ?」

静かに始まる、二人だけが知る奇妙な再会の物語。

朝の教室はいつも通りのざわめきで満ちていた。結城ユウトは窓際の席に座り、外の空をぼんやりと眺めていた。

「また新学期か……去年と何も変わってない気がするな」


そんな呟きを心の中で繰り返しながら、ユウトは周囲の声に耳を傾けていた。


その時、教室の扉がゆっくりと開いた。


「みなさん、新しい転校生を紹介します」


担任の先生の声に、ざわつきが一瞬静まる。


一人の少女が教室の中に入ってきた。黒髪をさらりと垂らし、どこか透き通るような雰囲気を纏っている。


「はじめまして。一ノ瀬ハルカです。今日からよろしくお願いします」


彼女の言葉に教室の空気が一変した。誰もが彼女に注目している中、ユウトの胸は妙にざわついた。


放課後。教室の隅で荷物をまとめていると、背後から声がした。


「ユウトくん、だよね?」


振り返ると、そこにはさっきの転校生、一ノ瀬ハルカが立っていた。


「どうして、俺の名前を知ってるんだ?」


問いかけるユウトに、彼女は少し微笑んだ。


「秘密。でもね、君のことはずっと覚えていた」


その言葉とともに、ユウトの胸にある違和感が大きくなる。


「そんなこと、誰にも教えてないはずだ……」


「覚えているから、また会いに来たんだ」


夕暮れの校舎裏。二人は静かに並んで座った。


「君は、いったい何者なんだ?」


「今は言えない。でも、いつか必ず話す日が来る」


「忘れないで。君は一人じゃない」


ユウトはその言葉を胸に刻んだ。


あの日から、何かが動き始めていることを、まだ知らずに――。

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