それでもいいよ
不良として生きていくしかなかった。
戦うしかなかった。
悪いことなら大抵やってきたんだ。
聞くは語るに落ちずである。
そんな過去がある中年男性の
過去などすぐにわかるのだ。
「それでもいいよ」
彼女の曇りなきまなこから
放たれる
その一言を聞いた瞬間、
俺の胸の奥が
ギュッ締め付けられたような感覺がして
頭の中がぐるぐると回り始めて
動悸が止まらなくなり
頭が真っ白になり
めまいがする。
俺のまなこから
生暖かい涙が溢れて
俺の震える頬を
ボタボタとつたうまで
そう時はかからなかった。