お姫様を探し続けて
[初恋のお姫様]
写真の中、私を愛す。
あの頃の私を愛す。
昔はお姫様に憧れていたけど、今はもう……。
御伽噺の中だと、お姫様には王子様がいて白馬に乗って迎えに来く。
だけど、そんな夢物語はそうそう叶うものではない。
五歳の頃はキラキラと光る服を着て写真を撮った。そんな私が私は大好きだ。
夏の日差しがギラギラと瞳に入り込む。
絵の具で描いたかのような入道雲が空に漂っている。
〈カラン〉と木の風鈴がなる昼下がり。
公園で遊ぶ子供を横目に飴を口に運ぶ。
お姫様に憧れる高校生なんてそうそう居ないだろう。
だけど私はココア色の瞳を持つ初恋の人をずっとずっと待っている。
そんな夢物語は捨てるのがとても難しい。
私は図書委員だった。
沢山の本を管理するこの学校の図書委員の仕事を淡々とこなす。
そんな時見つけたんだ。
丸眼鏡に沢山の本を積んで歩く君を。
フワッと靡かせた制服のスカートがとても似合っている。
恋に落ちる音がした。
夏の蝉に負けないくらい大きな音がなった。
君を待っていた、お姫様。
沢山の本を持つ君に声をかける。御伽噺の王子様のように。
「迎えにきました。お姫様」
心の中で呟いた声は私の夢、始まりの鐘を大きく鳴らした。
夕陽が差し込む図書室。
一つ甘酸っぱい青春の香りが充満している。
あの頃から変わらない、ココア色の瞳に私が一人写っている。
「大丈夫?」
「ええ、少なくとも王子様気取りに助けられる事はない。」
「えー酷いな」
ここで一つ、新たな恋の目が土から出てきた。
何歳になっても君は私のお姫様だ。
初恋を奪ったお姫様。
読んで頂きありがとうございます!
なんか少し分かりづらくなってしまいました。
反応して頂けると活動の励みになるので気軽にして行ってください。