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20イベント③


【歯車フロア】


ガコンッ

 ガコン⚙



「レオ止まれ!そろそろ地面の歯車が動く時…」

「うわぁぁあ」



あっ



止めるのが一歩遅かったか。歯車から歯車を渡ろうとしていたレオの機体は急に動き出した歯車から落とされ奈落へ消えてった。




・陸のルート⇒巨大な歯車が縦横無尽に動く中、次の階に進むためのエレベータにたどり着かなければならない




結局、俺たちはエレベータにたどり着けずメインフロアへ戻されたのであった。




「雪花はなぜここに?先に空から進んでいたと思うが」



 

俺とレオの機体は雪花のようにピクシー型ではないので空が飛べない。




すいすいと俺達を置いて飛んで行った雪花が死んだことに驚きを隠せなかった。




「空のルートは風が強く、機体の制御がうまく取れませんでした。まぁそんな理由でわたくしは死にませんけど…」




じゃあ何で死んだんだよ。俺は歯切れの悪い雪花を見ながらそう思った。




「歯車の大きな音と視界が悪い中、飛んで来た飛び道具が見えず死にましたけど何か?」




逆切れするなよ。




俺はそう思いながら、先ほどのルートの行き方と注意点をフレンドメッセにまとめてレオと雪花に送る。




「…ありがとうございます」




レオ元気がないな。

スバルの件を気にしているのが分かる。




「レオ」




俺は注意力散漫なレオとダンジョンを攻略する気はないので、レオが触れてほしくない話題を今この場で出す。




「スバルに言った言葉を後悔しているのか?」


「…はい」




俺の質問にレオは素直に頷いた。




「そうか」




やっぱりな。

でも一度、発した言葉は取り消せないんだ。




「だがな、私はレオが言ったことは間違いではないと思うんだ」




レオは「えっ」と驚き、俯いていた顔を上げて俺の目を見た。




俺に怒られると思っていたのか?




「スバルも自分が元気に暮らしているのは、忙しく働く父親や街の住人達のおかげだと分かっているんだ」




雪花とレオは静かに俺の言葉を耳に入れる。




「そうじゃなければスバルはレオの言葉に怒らない、反応しないのだから」




そうNPCはNPCの人格設定には限界がある。

設定された感情、人格にあわない言動は取れないのだ。




「私が考えるのにスバルはすごく怒っていたことは2つあった」




俺は指で2と表現する。




「街の住人に迷惑をかけた自分自身と誕生日の日に父親と過ごしたいという気持ちを軽々しく思われたことの2つだ」




「っ」




俺はレオが自身の手を思いっきり握り、爪が食い込んでダメージが入っている行動を見ないふりをする。




「レオ、このままぼんやりとダンジョン攻略をしていていいのか?」




俺は責めるような目でレオを見ながら言葉を紡ぐ。




「お前はスバルに会って言うことがあるんじゃないか?」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 




【時間の迷路フロア】




正しいルートを見つけなければ、迫りくる水位で溺死(※水浸しの迷路で視界が悪くなっている)




「次は右です!」




俺たちは死に戻りを繰り返しながら、迷路の正しいルートをメモしていった。




この時間の迷路フロアは、タイムアタックで最初の走りが肝心だ。




なぜなら時間が経過するごとに壁の排水溝から水が漏れ出て、通路を水浸しにして足取りを悪くするという設計のため、水が機体の足の絡まない時にどれだけ距離を稼げるかが重要になった。




ぐっ。もう水が機体のお腹辺りに…。




「お姉様!階段が見えてきました」




前回はあの階段にたどり着く前に足が水に絡んで転んぶハプニングがあったんだよな。




…やっと階段にたどり着いた。そう思い、階段を登ろうとするが俺の機体は重量ありすぎて足が持ち上がらなかった。




俺は直ぐに機体を階段に引き上げるのは無理だと判断し、もう胸まで水に浸かっているレオの小型機の脇を両手で持ち、階段に引き上げる。




「雪花は機体から降りろ。私たちの機体は重量があって上がれない」




俺はコクピットと階段の距離をなるべく近づいて機体を置く。そうすることで俺が機体から降りるとき、地面との距離が近くで怪我がしにくい。




「雪花。私が受け止めるから飛ぶんだ」




俺は機体から降りるのに手間取っている雪花のために、俺は手を広げ雪花を受け止める準備をするが、レオの機体がひょいと雪花の体を持ち上げ階段に降ろした。




そ、そうかレオがいたのか…。




俺は顔が赤くなっていることを悟らせないために手をすばやくひっこめて一度、機体をデバイスに戻して乗り込んだ。




そんな俺の早業を見た雪花は呆れていたのであった。



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