新しい部屋へ2
「え、ほんと?」
子供達の中の一人が声を上げた。先程意気込みを言った、凪斗だった。
「ああ。俺は隣の部屋に居るからな、てめえらで勝手に使っていけ。家賃とかは気にするな」
海斗が若干微笑みながら言うと、凪斗はありがとうございますと言って頭を下げた。それを見ていた他の子供達も一緒に頭を下げたが、凪斗の手を握っている少女だけはじっと海斗の瞳を見つめていた。
「ほら七音、お礼するんだよ」
それをたまたま近くで見ていた、小学6年生の女子__小夜が七音の頭を下げさせた。海斗は眉を潜めて苦笑した。
「気にするなって言ってるだろ。町長が無償で提供してくれたんだから」
だから顔を上げろ、そう言うと小夜はすみませんと謝って、凪斗と七音を連れて部屋の隅の方に行ってしまった。
小夜は話してみればわかる通り、とても律儀で真面目な子であった。小学6年生と色々なものを抱える年頃だが、4才年下の、しかも声の出ない七音にいつも気遣っていた。その為か、自分の事を後回しにする癖があり、それを凪斗が上手く支えて居る。全く、良く出来た仲間達だ。
そんなことを思っていると、玄関側からこちらに向かう足音が聞こえた。誰が来たのだろう、不審に思った海斗は、少し待っててくれと子供達に声を掛けて玄関へと向かった。
「……えっと、なんで此処に居るんですか……?」




