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奈落に落ちたら案の定裏ダンジョン直行ルートでした  作者: 猫蜜柑
第一世界 神魔交錯戦域ヴェレツェルト 序章 勇者召喚世界
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5,訓練終了〜遠征準備

「さて、それじゃあ前衛組の訓練場所に行こうか」


「うん、秋くんに伝えとかなきゃね。部屋に戻ったあと私の部屋に来て私がいなかったら心配かけちゃうから」


 森宮さんと少し距離を開けつつ会話しながら前衛組の訓練場所に向かうと中に入っていないのに外まで訓練の音が聞こえてくる。


「じゃあ、森宮さん秋に言ってきて」


「え、真緒くんは?」


「僕はここで待ってる」


「わかった、それじゃあ行ってくるね」


 ふぅ、森宮さんを待ってる間に魔力操作でもして時間を潰していようかな。



《『魔力操作』のレベルが上がりました》


 おっ、レベルアップ。こういう風に、頑張れば頑張った分結果が目に見える形で出る分地球よりもいいのかな。


「真緒くーん!!」


「あ、森宮さん。秋にちゃんと言った?」


「うん、ちゃんと伝えてきたよ。そしたら他の男子じゃなくて真緒くんならいいって言ってた」


 うわぁ、親友の信頼が重い。

 まぁ、僕が秋の立場でもそう言うと思うから納得できるけど。やっぱり彼女が見ず知らずの男といるよりはせめて親友といた方が安心できるよね。1番は自分が一緒にいたいだろうけど。


「それじゃあ行こっか」



 さてと、書庫に着いたけど肝心なこと聞くの忘れてた。


「今更だけど森宮さんの許可証ってどこまで入れるやつ?」


「ん?えっとね……第2書庫まで、だって。真緒くんも?」


「うん、僕のも第2書庫まで、同じ場所までなら帰る時に声掛けやすいからよかった」


「今日も利用します。あ、隣の彼女は僕と同じ許可証を持ってます」


「かしこまりました、諸注意は……よろしいですね。とりあえず本の持ち出しだけはしないようにお願いします」


「はい、分かりました。それじゃあ森宮さん行こっか。


あ、そうそう。第2書庫と第1書庫の間には騎士が立ってるからその手前までが僕達が利用できる書庫だからね。僕は基本的に第2書庫に篭もってるから何かあったら呼んで」


「わかった、じゃあまた後でねー」



 さてと、それじゃあ昨日の続きを始めますか。


 ……ほぅ、一般魔物図鑑に特級危険魔物図鑑、さらに特異魔物図鑑か……めちゃくちゃ面白そうなの見つけた。


 まずは一般魔物図鑑から。これには魔物の生態とかも書いてあるみたいだ。

 なるほど、魔物の体内には人で言う心臓にあたる魔核石って言うのがあるのか。どんなに強力な魔物でも基本的にそこを砕けば致命傷になると。そして魔核石(以下魔石)は魔物にとって心臓にあたるものであるため本来心臓があるであろう場所に存在する。

 魔石自体にも魔力が込められていてこの世界の魔導工学での燃料になる。

 ・・・・・・へぇ、これは使い方次第で色々役に立ちそうだ。


 次は特級危険魔物図鑑。えっと……ふむふむ、特級って言うのは1体で都市壊滅から国自体の危機までの危険度がある魔物のことを言うのか。


 そして最後に特異魔物図鑑。特異魔物は通常の魔物が何らかの理由で突然変異した姿と言われていて、その姿は異形化していることが多いと。

 特異魔物はその全てが冒険者組合からSランク以上指定されている。普通は見た瞬間逃亡一択であり戦うのは自殺行為ねぇ。まぁ一般人がSランク相手にソロで挑むのは普通に考えてそいつ狂人だよなぁ。



 他には何か無いかなー?



 んー、特に気になるのは無い?でもまだ騎士さん達も呼びに来ないし何しようかな。


 お?さっきは気づかなかったけどあれって精霊系の本じゃん!


 この本にはそれぞれの属性ごとの精霊の王が載ってるのか。火から順に見ていくと、火の精霊王サラマンドラ、水の精霊王ウンディーネ、風の精霊王シルフィード、土の精霊王グノメ、光の精霊王イグニ、闇の精霊王ルナサ、氷の精霊王オルム、雷の精霊王テュポーン、水の精霊王は地球で1番有名な水の精霊と同じ名前なんだ。そしてテュポーンって名前は同じだけどあのテュポーンと同じ存在??もしそうならあれクラスが精霊にいるってことに……


 ん?精霊王は本来、いかなる儀式を持ってしても人の身に収まるものが呼べる存在ではない、と。なるほどね、つまり精霊魔法は属性を司る精霊王の眷属である下位精霊を使役することで使えるという事か。


 そして精霊と精霊獣がいるのか、精霊の力を色濃く持つ獣のこと。それじゃ地球にいた頃よく読んでた異世界ラノベに出てくる主人公達のテイムしていた魔物はこの世界では精霊獣にあたるのかな?サラマンダーとかグリフォンとか。



 さて、精霊の本も読み終わったしホントにやることなくなったな……森宮さんはまだ第3書庫にいるみたいだし。ほんと何しよっかなー、暇だ。退屈だ。



「勇者様?」



 ビクゥッ!?


 だれ?森宮さん?でも森宮さんなら自分も勇者の1人なんだから勇者様なんて言わないよね?となるとこの城の人?


 ソロォ……


「あのー、勇者様?おられませんか?今声が聞こえた気がしたのですが」


 …………姫様じゃんっ!え、僕にどうしろと?一介の学生に一国の姫様と会話しろと?ねぇそれなんて無理ゲー?


「あっ!クジョウ様!」


 ッ!うわ、見つかった!?


「クジョウ様、そちらの世界では魔法というものがない分こちらより一般的な勉学が進んでいると聞きました。私が通っている学園で出された課題にわからない箇所があるので教えて貰えませんか?」


「えっ、それは神城に頼む訳には行きませんか?私より彼の方が優れていると思うのですが」


「?カミシロ様よりもクジョウ様の方が勉学に関しては優れているとほかの勇者様たちから聞きましたよ?」



 ………逃げ道から先に潰されてた……てか誰だよ姫様に僕の方が神城より勉強できるとか吹き込んだやつ。


「あー、姫様。ちなみにそれを言ったのは誰か名前覚えていらっしゃいますか?」


「えぇっと、トウドウ様とモリミヤ様などの勇者様たちからです」



 …………あんのバカップルゥゥゥゥ!!



「あの、大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。分かりました私でよければお教えしましょう」


 あはは、姫様からは逃れられない……


「ほんとですか!ありがとうございます!!」


 あぁ笑顔が尊い。この笑顔を見たあとだともう断れない気がする。なんかもういいや。


「クジョウ様、私とお父様は勇者の方々にもこの世界の学園に入学していただきたいと思っているんですがクジョウ様個人としてはどう思います?」


 その後は森宮さんが呼びに来るまで姫様に勉強を教えてそのまま夕食の会場に向かった。そしていつも通りの夕食を食べて寝る前のお祈りタイムに突入。


 1時間経過……成果なし


 2時間経過……まだ成果なし


 3時間経過……おっと?これは……


 おぉっ!赤、青、緑、黄の小さな羽の生えた球体が飛んでる。これが精霊ってやつかな?確かこっちの精霊は高位のやつじゃないと決まった形を持たないんだっけ、それで球体なんだ。


 魔力を放出して仮契約完了。ちゃんとした契約には相応の準備が必要だからとりあえず仮で。


 それじゃあ目標も達成した事だし今日はもう寝よっかな。



 んー、あれ?昨日の精霊達はどこに行った?



 おわっ!びっくりした。突然体の中から出てくるなんて。精霊って高位以外はこういうもの?


 とりあえずいつもの精神統一兼魔力操作を済ませて朝食。

 この日から訓練も特に変わり映えしないものになってきたからちょっと割愛。姫様との勉強はその間もあったけどそれも割愛。


 そして今日、僕達がこの世界に召喚されてから1週間がすぎたの日の朝。朝食を食べている時に騎士団長と宮廷魔導師団長から爆弾発言が飛び出した。


「よしっ!全員そこのマーリンと話しても1人前と呼べるくらいの技術はある、ってことで今日からの訓練はダンジョン遠征だ!」



 はい?ダンジョン遠征?今日から?ちょっと突然すぎじゃない?


「はぁ、団長、正確には今日からではありませんよ。ダンジョンに入るのは明日からです。今日は王都でダンジョンに行く準備をして貰います。支度金はこちらが用意しているので皆様はそれを使って買い物してください。城下の国民との関わりも勇者としての仕事のひとつですよ。


準備する品はこちらからは指示しませんので皆様で考えて買ってみてください」


 あぁ、さすがに一応準備期間はあるよな。初めてのダンジョンだし。そして城下か、何気にまだ行ったことなかったな。

 とりあえず買うものはランタン、松明にも焚火にも使えそうな樹脂と木の棒。剥ぎ取りナイフに後衛とはいえ多少装備と武器も買わないとね。


「あぁ、前衛組はそれぞれにあった防具と武器はこっちで支給するから買わなくていいぞ」


 前衛組は支給か、まぁ人によっては全身鎧とか必要かもだから簡単に買えないしね。

 それじゃあ支度金を受け取ったら城下に行こうか。



「おい真緒っ、俺達もついて行くからな!」


「何が必要か教えてね真緒くん、あと必要なら私たちでそれぞれ買うもの分担してもいいかも。」


「そうだね、でもまず何を買う?僕はまず森宮さんに近づかれた時用の短剣とか買ってもらった方がいいと思うんだけど。魔職だし近づかれたら詠唱出来ないかもしれないから。」


「あぁ、それもそうだな、じゃあまずは鍛冶屋か武器屋みたいなとこ探すか。真緒は近接用の武器はいいのか?」


「うん、僕一応魔剣士だから魔剣召喚があるし」


「あっ、そうか。そう言えばお前魔剣士だったな。訓練の時は後衛組にいるから完全に魔職系だと思ってたわ」


「それじゃあまずは鍛冶屋か武器屋を目指そっか、でもその後はどうするの?」


「その後は道具屋か雑貨屋でランタンか何かを買って木の棒と油かなにかを買う。これはランタンと松明、焚火用の準備だね。それでお金に余裕があれば念のために僕と森宮さんはローブかなにか欲しいかな」


「ランタンとかなくてもライトボールで明かり確保すればいいんじゃない?」


「いや、魔力を使い切ったら魔物に会った時に何も出来ないから節約できるところでは節約しないと」


「あっ、確かにそうだね。それじゃあランタンみたいな魔法以外の明かりがあった方がいいね」



 さて、というわけで鍛冶屋、武器屋と雑貨屋、道具屋を探しに向かったけど意外と他のクラスメイト居ないな。

 軽く見た感じ店員さんはいないから呼ばないといけないかな。


「すみませーん、ここってローブとか扱ってますかー?」


 おっ、人がでてきた。……クマ?・・・あ、人だった。なんか全体的に毛が長くてガタイがいいからクマみたいに見える。


「あー?一応扱ってはいるが王都の専門店には劣るぞ?てかお前さんら見たところ後衛職だろ?それなら専門店に行った方がいいぞ」


「いえ、私と彼女は後衛ですが短剣を買いに来ました。後衛は近づかれると弱いので。それで鍛冶屋にあるような魔法戦士なんかに向いた装備があればと思ったんです」


「へぇ、そんな若いのによくわかってるじゃねえか。


 確かに後衛は近づかれたら無力だ、だがお前らくらいの年のやつらは後衛だから魔物に襲われることは無いなんて慢心してやがる。

 いいだろう、今うちにある中で最高のやつを見せてやる。こっちだ着いてこい。」


 よしっ、習熟した若者ムーブ成功。実際は地球のラノベで見たことを自分なりに考えて言っただけなんだけどね。テンプレならこういう所が実は隠れた名店だったりするんだよね。


「それじゃあ秋、森宮さん、行こっか」


「あ、あぁ。てかお前よくあんなセリフ出てくるよな」


「はーい。真緒くんロールプレイみたいなの得意だもんね」


「はは、地球にいた頃読んだラノベの主人公が言ってたことを自分なりに言い直しただけだよ。僕は先に行くから2人とも早く来てね」




「ようやく来たか、外で何してたんだ?まぁそれは別に言わなくてもいいが、これがうちの最高の装備だ!それと短剣だったな、1振りずつお前らに合いそうなのを揃えておいたぞ。

 それとそこのあんちゃんだが……正直雰囲気と装備があってないぞ。だからお節介かもしれないが俺の方で幾つか見繕っておいた。気に入ったのがあれば言え、少しは値段も考えてやるから」



 ふーん、頑固そうだけどいい人そうだね。何も言ってないのに秋の分の装備まで見繕っておいてくれるなんて。


 さて、それじゃあ見てみようか。まずは短剣から……うわ、この短剣凄い装飾が細かいな、儀礼用剣って言われても信じられそう。

 さて、解析を発動しよう、このスキルは鑑定と違って状態や想定値段、フレーバーテキストみたいなのまで見れるからこういう時には鑑定より優秀。


 結果は……


アイテム

蒐魔の短剣 ☆☆☆☆☆☆

レア度: 英雄級

触れた物の魔力を吸い取る性質のある魔物の素材を元に聖銀ミスリルを使って作られた短剣。傷をつけた相手から魔力を吸収しさらに傷の再生を阻害する効果がある。吸収した魔力は持ち主に還元される。

この武器は傷付いた場合持ち主の魔力を吸うことで修復される。吸収した魔力を生命力に変換し治癒速度を向上させることが出来る。



装備効果

[魔力吸収(中)][自動修復][再生阻害(小)][魔力譲渡][魔力増加(中)][破壊耐性(小)]

[魔力変換(生命)]「蓄魔」



 …………は?つっよ。☆6とか絶対この世界でもトップクラスでしょ。

 1振りずつってことはこれと同レベルのがもう1本あるって事?確かに隠れた名店だったりしないかなとは思ったけどあのおっさんの鍛冶技術この世界でもトップクラスなんじゃない?


「森宮さん、武器の性能だけど僕が解析したやつを伝えてもいい?」


「うん、いいよ。私解析持って無いからね」



「それじゃあ見るよ」








続きが気になる方などいましたらブクマや感想等など貰えると作者のモチベが上がって続きが出たりするかも。作者の別作品『プレアデスディメンションオンライン』の方もどうぞよろしくお願いします。こちらは今作と違ってVRMMO物になってます。


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