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冷やし中華始めさせられました。~ドラゴンの卵に転生したら料理された件~  作者: 鬼影スパナ


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16/18

16.ご注文は紅ショウガですか?


 黒カビ復活――忘れていたのだ俺たちは。カビはしつこいと言うことを。


「ナツ、逃げよう!」

「だめ!」


 逃走を提案したが、却下された。なぜだ!


「いやここは一旦逃げて助けを呼ぶとかしなきゃ」

「だ、だって、今ここを離れたら……あいつにこの温泉を滅茶苦茶にされちゃう!」


 はっ。そうか。ナツはここを守りたいのか……

 ……そんなに温泉が気に入ったんだな! 俺もだ!


「分かったナツ。あのカビ野郎を俺達で退治するぞ!」

「うん!」


 改めて黒カビモンスターに立ち向かう俺達。

 だが、相手はナツの爆発するアレが効かなかった奴だ。いったいどうしたら勝てると言うのだろう。


「……多分、物理的な攻撃は効かないと思った方がいいな」

「物理的?」

「こう、殴ったり叩いたりパンチしたりだ」

「全部同じだよそれ」

「じゃあキックしたり蹴ったりキックしたりもだめだ」

「また同じだしキック2回言ったよ……とにかく、何かぶつけて倒そうってのはダメってことだね」


 かしこい! そうそれ!その通り!


「あと爆発も止めた方がいいな。飛び散るし。それにあんま効いてないし」

「ならどうしたらいいのかな」

「弱点を突くしかない」

「弱点って?」


 考えろ。相手はカビだ。カビの弱点といえば……そう。カ○キラー。あれだ。

 だがこの世界にカビ○ラーは無い。あるかもしれんが手元にない。くそっ! ギャグ漫画とかならなぜか手元に出てきたりしそうなもんなのに!


「ゴンさん。弱点は?」

「えーっと、ど、毒?」

「毒……」


 ちらりとカビを見るナツ。うん。毒の塊かな。


「あいや、しょ、消毒! 消毒だ!」

「消毒? どうすればいいの?」

「えーっとだな。濃度の高い酒をぶっかけたり、石鹸で洗ったり?」

「お酒はないけど、石鹸ならあるよ!」

「よし、泡立てて泡を投げつけるんだ!」

「まかせて!」


 ナツは温泉の桶にお湯をすくって、そこで石鹸をぶくぶくと泡を立てる。すさまじい泡立ち、こいつぁプロ級だ。何のプロかは知らんけど。


 そうしてできた泡を、黒カビモンスターに向かってぽいっと投げた。


 ふわふわ……ふわり。ぺちょ。


 そして避けられた。


「だ、ダメだよゴンさん。避けられたよ!」

「ええい、じゃあ次は石鹸水でいってやれ!」


 先程石鹸を泡立てた桶。これに残った水はそのまま石鹸水となるのだ!


「えいっ!」


 ばしゃぁん! と、今度は黒カビに石鹸水がひっかかる。今度はちゃんと速度も出ており、黒カビモンスターに命中した! 悶える! ダークもふもふが悶え苦しんでいるぞ!


「あっ、効いてる、効いてるよゴンさん!」

「よぉし、もう一発だ!」

「うん! あっ」

「どうした。ナツ」

「石鹸も一緒に投げちゃったみたい……」


 なんだと……ッ!


 と、見れば石鹸を避けて立っている黒カビモンスター。石鹸が弱点なのは間違いなかったようだが、これでは手が届かない。麺も届かない。


 くっ、万事休すか……はっ。いや待て!


「ナツ! 火だ! 魔法で火を出せないか?」

「火魔法?! そんなの使えないよっ、教えてもらったけど、難しくてっ」


 むむむ、火魔法はダメか? いやしかし! 完全に使えないというわけではなさそうだ!

 ならば思い込みの力で後押ししてやれば……!


「カラシだ! 俺のカラシを食べるんだ!」

「えっ、なに、なんでいきなり?」

「良いか。カラシは辛い」

「うん」

「だから食べたら口から火が出ちゃうぞー」

「うそだ! うっかり食べたことあったけど出たことないじゃん!」


 ちっ、バレたか。


「仕方ない。じゃあ紅ショウガでいいよ」

「え、確かに紅ショウガも辛いけど」

「実は紅ショウガって火属性だから赤いんだぜ?」

「そうなの!?」

「ああ。きっと火魔法を補助してくれる! トマトも赤いけど、ここはより強い紅ショウガだ。さあ!」

「やってみるね!」


 そしてナツは俺の紅ショウガを食べた。ひょいぱく。


「~~ッ、か、からいっ、けどっ、おいしいっ! ファイアー!」


 そして炎を撃った。


 ゴォウン! と火炎放射器の如く炎を吐き出すナツ。ぎゃひぃ、その熱波がこっちにまで飛んできて冷やし中華がまた温まってしまう。そして黒カビにはとても有効なようだ。


 いやー、ないわー。自分で言っといてなんだけどないわー。

 この子思い込み激しすぎなところあるわ。ま、今回はそれで助かったわけだけど。


 ナツのファイヤーで、黒カビはもふもふごうごう燃えていく。


「やった、できたよゴンさん! ファイアー!」

「はっはっは、よくやったナツ! そうら、汚物は消毒だー! ファイヤー!」


 と、その時。ごうん! と、ナツよりちょっと小さく俺からもファイアーがでる。しかも紅ショウガから。

 えっ。なにこれ。紅ショウガマジで火属性だったの?


「すごいすごい! ゴンさんもファイアーつかえるんだ!」

「えっ、あ、うん? そうだね?」


 ま、まぁ良くわからんけどとにかくよし! つーか俺、火属性もあったのか! いやぁやっぱ中華って火力が命だもんね! 俺は冷やし中華だけど。

 あれ? でもそう言えば前には使えなかったよーな。ま、いっか。とにかく新しい魔法だ! 俺、ファイヤー冷やし中華、爆・誕!


「フゥーハハハ! 汚物は消毒だぁ! 紅ショウガファイヤー!」

「消毒だー! ファイヤー!」



 こうして天然温泉の平和は守られた。ファイヤー。

 ただしその代償として俺はまた(ぬく)くなった。ふぁいやぁ。



(黒カビは強敵でしたね……

 あと1話+エピローグで完結予定です。次回更新明日朝7時!)

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