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魔王の手下〜〜裏切りの貴族〜〜  作者: まさかの
第1章 レーシュ フォン モルドレッド
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vs魔王④

 魔王サタナキアは戦場を駆けていく。好戦的な性格なため自分が守られることなどを良しとせず、逆に危険な場所には率先して行く。



 1番厄介な山を噴火しようと魔法を準備している敵を一瞬で殺して、山の麓めがけて滑空する。


 

「あの魔術師が警戒してただけはあるな。まさか俺が何度も"死にかける"とはな。……とうとう見つけたぞ! 」



 すぐに一人の馬に乗っている人間を視界に捉え、殺気を飛ばす。



 その殺気に馬が制御不能になるほどの混乱状態に陥る。すぐに乗っている人間は振り落とされた。




「ひいぃ、来るな! 死にたくない、助けてください」



 レーシュは顔を腕で覆い、体を引きずりながら逃げようとする。だがすぐに岩壁に着き、逃げ場がない。



「こんな人間が俺たちを本当に追い詰めていたのか? くだらん、さっさと失せろ。ゴミに用はない」



 サタナキアは興味を失い、命を取らずに来た道を帰ろうとした。



「それは残念だ、だがお前はどうそこを動くんだ?」



 追い詰められていたさっきまでの男と様子と違いとっさに振り向く、だがもうすでに遅く、魔法により格子状の土の檻がサタナキアを閉じ込める。



「獅子は兎を狩る時にも全力を出すらしいが、それを考えるとお前はライオン以下だな! そしてこれからこの岩壁を魔法で破壊すればお前は押し潰される。魔王討ち取ったり!」



 レーシュは油の入った瓶を空中に放り投げ、その間に魔法の陣を描き、爆発の魔法を放つ。



 それにより、岩壁は崩壊してサタナキアは岩石に飲み込まれる。雨のように降り注ぎ、土の檻はすぐ見えなくなる。レーシュはその崩壊に飲まれないように距離を十分に取る。



 そして、その崩壊も終わり、岩石の山を遠くから見る。



「やったのか? 本当に魔王を? 」



 顔がにやけそうになるがすぐにその顔は色を変える。黒いオーラが岩石の山から漏れ出し、一帯の岩を吹き飛ばす。



「舐められたものだな。我は魔王サタナキア。この程度で殺される王ではない」



 サタナキアが手をレーシュの方に向け、黒い炎を放つ。レーシュは避けることも出来ずその攻撃を受ける。



 炎や冷気に強い魔法の服を着ているのにもかかわらず、レーシュは倒れた。



「く……そ……、ユ……ミナ」



 ゆっくりとサタナキアは近づき、至近距離で同じ黒い炎を向ける。




「なかなか楽しめたぞ、では逝け」



 風が吹いた。その風は黒い炎を断ち切る。何が起きたのかレーシュにはわからなかった。だがサタナキアはその風の発生源を見て、自身の顔の傷から出る血を拭う。



「ほう、人間にしてはやるな。娘、名を申してみよ」



 レーシュの後ろから剣を抜いて炎を断ち切ったのはギリギリ間に合ったエステルであった。


「レーシュ様のメイド兼護衛を任せられているエステルよ」



「田舎娘……」



 エステルは飛びかかり、斬りつける。だがサタナキアの腕は鉄のように硬く、簡単に止められる。


「やるでないか、だが力が足りぬな」



「なら〈人技〉天の支柱!」



 肉体強化の技でサタナキアは抑えきれず、後ろに飛ばされる。すぐ翼を広げ距離を保つが、既にエステルは距離を詰め、その剣で斬りつける。だがそれもまた、黒い炎の盾で防がれる。



「いいぞ、やっと歯ごたえのあるやつが現れた!」



 サタナキアが攻撃に転ずる。右腕から黒い炎が吹き荒れ、エステルに振り落とされる。



 振り落とした腕の方向に直径50mまで抉れたかのように地面が消え失せた。



「はぁはぁはぁ、死ぬとこだった。これが魔王、勝てない、レーシュ様、背負って逃げます。かなり揺れますが我慢してください」



 何とか避け切ったエステルは勝つことを諦め、レーシュを背負い、近くに置いている馬の方へ向かった。



「逃がさん!」



 またもや黒い炎を身に纏い、エステルの逃げる方向、馬目掛けてその無慈悲な暴力が降り注ぐ。



「そ、そんな。馬が……」



「このまままっすぐ行け、そこに地下へ行く遺跡がある、そこならあいつを生き埋めにできるはずだ」



 これまでぐったりとしていたレーシュが口を開け、指示を出す。エステルは頷き全力で駆け抜ける。



 サタナキアの炎の嵐を紙一重でかわし続けとうとう遺跡へたどり着き、その地下に降りて行く。



 中は松明が灯されており、明るくなっている。何故人がいない遺跡なのに光が付いているかなど今気にしてる余裕はない。




 しかしすぐに大広間の行き止まりにたどり着く。



「ちょっ、ちょっと! どうするのこれ! 逃げ場ないじゃない!」



「やかましい、それより奴は付いてきているか?」



「ここがおまえたちの墓場でいいのか? 」



 底冷えする声が響き、サタナキアとの距離の近さがすぐにわかる。


「少し下がって窪みの出来ている場所まで下がれ」


 レーシュは静かに指示をして、背を壁にして不自然ではないように下がる。


 手で降ろせと指示を出し、虚勢ではあるが腰に手をあて、格好を付ける。



「魔王よ、初めてだよ。私の策が全て破られたのはな。だが私に敗北などない」



「その身体でよくそこまで虚勢を張れるな。存外に楽しめたがここまでのようだな」



「おっと、周りをよく見てみろ」



 辺りを見渡すとそこには多数のダイナマイトが設置されている。




「これがどうした、この程度の人間の爆弾なら知っている。それで俺を殺すことはできんぞ」



「残念だが、ここは遺跡だ。たとえ岩石の山を生き延びたおまえでもその何十倍とある質量の前には生き延びることな不可能」




「ふん、ならおまえたちも一緒ではないか」



 そこでサタナキアは気付いた。レーシュたちは窪みの中に入っており、その壁の不自然な膨らみに手を掛けていた。



「ここはすでに調査を何度もしている、爆破の結果も予想してある。このボタンは隠し通路を開くスイッチだ。そしてこの窪みを境に壁が降りてきて、こっちに余波はこない。逃げさせてもらうということだ。だがおまえだけはここで死んでもらう」


 やっと焦ったサタナキアの顔を見て勝利を確信した。

 レーシュは油の入った瓶をサタナキアの近くに高くあげ。ボタンに手を手を掛けた。




 そして光が包まれた。



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