星降る夜のロケットガール
大きぬ音を立てて落下してきた金属の塊。
しかし、燃え上がる炎も、崩れた金属屑も見えない。
「まるで、私の術式を着陸地点にしたみたい」
少女は意図しない様子で呟いた。
実際、その通りであった。五芒星の中心に、ロケットは無傷のまま立っていた。
「魔力によって、物理ダメージを防いでいるみたい。おそらく、この術式はたくさんの魔力を使うから、よい目印になったのでしょう」
「しかし、一体何者なんです?まさか中の人が死んでいたりしないでしょうね⋯」
「⋯このロケット、どこかで⋯」
と、その時、ロケットの出入り口がゆっくりと開いた。
「ふう、どうなるかと思った⋯」
そこから顔を覗かせたのは、海賊服を着た金髪の少女。
「レニィ!?」
いち早く叫んだのは、星屑少女。
「あれ、その声⋯」
海賊少女は目を輝かせ、飛び出てきた。その後ろを、小さな光のようなものがついて行く。⋯妖精だろうか?
「やっぱり、ミラだ!」
そのまま飛びついて、にぱっと笑う。
「ありがとう、君がボクの声を聞いて、導いてくれたから⋯」
「え?」
ミラと呼ばれた少女は、きょとんとしている。
「まさか、ボクの弱い魔力で地球まで届くと思ってなかったよ」
「⋯宇宙からの、声?」
「そう。助けてって、ミラに届くことを祈って」
「⋯感情のエネルギーは魔力に上乗せされる。⋯強い想いがあれば、とてつもない力が出るものなの」
強い想い。そして、ただ一人の少女だけに届いた声。ミラには思い当たるものがあった。
「⋯あのとき聞こえた声は、あなたのものだったの?」
「きっと、そう!」
「あなたが私に語りかけて⋯私は、あなたを助けることが出来たの?」
「うん!ミラがいなかったら、どうなっていたことか!」
「⋯」
星の声。その正体は、なんと友人の声だった。しかしそれは、星の声に違いないのだろう。
「お二人とも、この度はご迷惑をおかけしました」
スイジーとエルシーの方を振り返り、頭を下げた。
「私の名はミラ。ランタノイドの一番目、ランタンです⋯そして、彼女は⋯」
「ボクはレニウムのレニィ!星海を旅する宇宙の覇者なのさ!」
レニィは、レイピアを高く掲げて決めポーズをしてみせる。
太陽が生まれ、そしてやがて自分たちも生まれた。ならば、我々は皆星の子といっても、良いのではないだろうか。
「終ワッタ感ジニシナイデクダサイ」
その機会のような声は、どこから聞こえてきたものか。辺りを見回していると、小さな光がスイジーたちの前まで飛んでくる。
「⋯今の、あなたですか?」
「イカニモ。ソノトオリデス」
突然輝きが強くなり、真下に魔法陣が浮かぶ。
すると、光は形を変え、やがて人型となる。
「わたくしはセリアといいます。さっきまでは魔法で宇宙船のオペレーションシステムとなっていましたが、普段はミラ様のお守りをしています」
現れたのは、
「どういうことなのセリアレニィ」
ミラも驚いているようだった。
「いやまあ、細かいことはいいんです。私にそういう技術があったということです」
「ボクもよくわからないけどそういうことだよ」
「えぇ⋯でもとりあえずお守りは訂正しなさい」
「どうしてです、わたくしめはあなたがまだずっとずーっと人見知りだった頃からお傍におりましたのに」
「もうそんな事しないわよ!」
「それにわたくしがロケットに乗り込む時もお見送りしてくださったのに、さっき探してもらえずわたくしめは悲し悲しです」
「だって中にいると思っていたもの!」
「疑わしいですねえ」
「なっ⋯」
「それはともかくお二方、ミラ様がお世話になりました。何が起こったまではわかりませんが、この子が何かしでかしたようで」
「い、いいえ⋯」
「⋯自由奔放なお嬢様を持つと大変ですね」
「あなたがそれを感じることなんてないと思うけれど」
「だってすぐどこか行くじゃないですか」
「私は自由に行動する権利も持たされていないの?」
「いっつも私が迎えに行かないといけないじゃないですか」
「うーん。確かに」
「⋯改めて記憶を辿ると大袈裟な表現でもなかったんですが」
「まあいいじゃない、あなたのお仕事なのだから」
「嫌な仕事任されましたよ本当」
いつの間にか、こちら二人の言い合いになっていた。




