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Elements  作者: まそほ
星の願い編
78/81

星に願いを

「私は、あのとき聞こえた星の願いを叶えたい。だから、星と星を繋ぐ橋を架けるの」

少女の指は五芒星を描く。五つの三角形とひとつの五角形。一つの三角形を除いて、キラキラと輝くヴェールのようなものに包まれていた。

「やっとここまで集めた。こんな所では諦められないわ」

恐らく、五芒星全てを生命の光で満たすことにより、術式が発動されるのだろう。

「そんな術式が発動したら、この星にどのようなことが起こるかわからない⋯空間が歪み、穴が空いてしまうかもしれない⋯!」

「それならそれで構わないわ!」

少女は、周りに星屑を浮かべる。

「人々は星々を忘れてしまっている。あんなに綺麗な星が見えるというのに、人は空を見上げることも明かりを落とすこともしない!」

星屑達が飛び交うのを、ひらひらとかわす。しかし、反撃はできない。少女は、自分の周りを結界で覆っていた。

「だから、教えてあげるの…星々の神秘を、偉大さを、恐怖を!」

結界は、水銀の兵士達では壊せない。スイジーには少女を止めることが出来ないのだ。

エルシーに無理をさせる訳にもいかない。自分がなんとかしなければならないのに、それは叶わない。

知識ばかりあっても、それを活用出来ないのなら無駄なこと。自分は、誰かが助けてくれないと何も出来ない役立たず…。

(…あれ)

何か違和感を覚える。

本当に、その知識は使えないのか?その知識は、自分には扱えないものなのか?

いや、そのようなことは無い。ぐるぐると書架を駆け回り、思い当たったある知識。

それは、錬金術。

おかしい。全て覚えている。覚えているのに。

何故、その力を忘れてしまっていたのだろう。何故、気が付くことが出来なかったのだろう。その知識は確かにあったはずだ。

「…星々の恐怖を教えてあげるのは私」

瞳の青白い輝きが、増したように見えた。

「スイジー⋯!」

木陰で、その様子に気付いたエルシーが焦ったように名前を呼んだ。しかしその声は届いていない。

力を込め、青い光を手に纏わせる。

「惑う星の声を…聞かせてあげる!」

秘められた水星の力が、容赦なく少女に襲いかかる。

その光は、ルナノーリズからも見えたという。


「どうして」

ボロボロになった少女は、座り込んで呟いた。

「人々が星を見上げることを思い出せば…争いごとはきっと無くなるのに」

弱竹のようにか細い声でそんなことを零す。

「…そう、ね。それほどの余裕があれば…醜い争いは、起こらないのかもしれない…」

「…私を捕まえるんでしょう」

少女は俯く。その声は暗く、重たかった。

「あなたを捕まえたりなんて、しない」

スイジーがそう言うと、少女は顔を上げる。

「どうして…、許してくれるとでもいうの?」

「あなたは…決して正しいとは言えないものだけれど、善意を持って行動した。それは間違いない…、それよりも」

それよりも、気になる事があった。

「この術式…あなたが組み立てたもの?」

「えっ?」

キョトンとする。

「違うわ、教えてもらったの」

「⋯誰に?」

不思議そうに首をかしげながら答える。

「金色の短い髪の、女の人」

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