アストラルマジック
冷たさで満ちた世界。銀色の天は、醜い己の姿を写し出す。生命に蝕まれ、そして蝕む、己の身体を、ありのままに。
そこに、たった一筋だけ射し込む光があった。
とても優しいその光に心を惹かれ、掴もうと手を伸ばした。
届かないと思ったその手は、延ばされた光によって、温かく包まれる。この光は確か─。
「─っ!!」
突然の覚醒に、まともに脳が反応するまで少し時間がかかった。
どうやら水の中ではないようだ。ならば一体?
もしかして、夢を無理矢理塗り替えて、そこに逃げ込んだのか。
⋯いや、違うようだ。ハッキリしてきた意識の中で、視界の中に一人の少女を捉えた。
黄色の髪には、水が滴っている。その情報だけで、口を開く十分な理由があった。
「エルシー、あなた⋯」
言葉を詰まらせる。この事態を招いたのは自分である。
自分のために、彼女は、水の中へと飛び込んたのだ。溶けにくいとはいえ、多少のダメージはあるはずだ。
「ごめんなさい⋯」
「言っておきますが」
いつもの通り、棘のある口調。
「今回ばかりは咎められません。あなたが自分から離れた訳ではありませんから」
それより、と、何かを言わす間もなく続ける。
「犯人は暴かれました。あとは引っ捕らえて目的を聞き出すだけです」
「でも、エルシー⋯⋯」
「さすがに無理をするつもりはありませんよ。ただ、私たちの任務はこの事件の解決。Elementsとして引き受けた以上、そう易々と引き下がる訳には⋯」
「そういう事だったのね」
声の主は、あの時の少女。振り返り、その姿を確認する。
リードグレイの髪を大きな星型の髪留めでおさげにし、瞳は星の瞬く夜空のように透き通っている。白いローブの下には暗い青色のドレスが見える。
「何故こんな所にいて普通にいられるかと思ったけれど」
スイジーは立ち上がって身構える。
「あなた達は、私の望みを奪いに来たのね!」




