霧晴れた竹林の
「う…ん?」
目を覚ますと、そこは森の中だった。
「あ、起きた!」
見知らぬ少女の声がした。辺りは暗闇に包まれ、頼りになるのは天高く昇る月のみ。随分と時が経っているようだ。自分は眠っていたのだろうか?だとすると今のは夢…?
いや、感覚は妙に生々しかった。あれが夢なわけがない。
それより、自分のことをのぞき込む彼女は一体誰なのか?
「よかった、なかなか起きないから心配しましたよ」
大きな星型の髪留めで髪を二つに結んでいる。身長は自分よりも少し高いくらいだ。
(あれ?)
立ち上がりながら周りを見回す。先程と似たような場所。同じ場所だろうか。…少なくとも山であることはわかる。となると…。
「あなた、どうしてこのような所に」
「え?」
「ここにいては危険だとお聞きしてますが」
確か、生命力を吸い取られるため、普通の人間では入れないはずだ。何か対策でもしてきているのだろうか。
「はい、今ここは危ないんです。ですから、早く離れてください」
「…あなたは大丈夫なんですか?」
敢えて伏せて、訪ねる。すると少女は、真っ直ぐな瞳に力を込めて言った。
「大丈夫です。だから、ここにいるんです。何ともないのだから、私が見て回らないと…」
彼女が何者かはわからないが、その真摯な声に何かを言い返す余地はなかった。
「ともかく、無事でよかったです。何か起こらないうちに、避難してください!」
「は、はい…」
誘導されるまま、森を歩いていく。
「ところであなた、ルナノーリズの方ですか?」
「いえ、…違います」
「そうですか…。とりあえず、ルナノーリズまではお送りします。…絶対戻って来ちゃ駄目ですよ、命が危ないですから」
幼い見た目も相まって、好奇心旺盛な子供かなにかと思われているのだろうか、厳しめの口調で諌められる。
…もう夜だ。彼女もルナノーリズに戻って待っているかもしれない。面倒なことにならないうちに、このまま大人しく連れていってもらうとしよう。




