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Elements  作者: まそほ
星の願い編
73/81

霧の向こうの虚ろ

怪しげな霧が視界を塞いだ。驚いたまま動けずにいると、何か嫌な気配を感じた。底知れぬ闇のように、おぞましい何かの気配を。

「あなたは誰?」

自分の声ではない。別の誰かの声。

どこだ。どこにいる?

「ヴァージン、この霧ではあちらから見えないでしょう」

別の声。

「おっと、そうだね」

「お待ちくださいね、今霧をはらいますから…」

誰かがそう言うと、その通りに霧が晴れていく。

目の前にいたのは、二人の…妖精?

「失礼致しました…突然のご無礼、どうかお許し下さいまし」

そう言いながら頭を下げたのは、緑の、絵本でよく見るような妖精の羽を持った少女。

「ごめんなさいねー」

真似をするように、青い羽の少女も頭を下げた。

辺りを見回してみる。真っ暗だった。いや、真っ暗というようなものでは無い、闇だ。上下左右全てを闇が覆い尽くしている。

異様な気配は消えていた。

「あの、ここは…」

「ああ、突然飛ばされてきたからわかんないよね」

「ここは…どこでもない場所ですわ」

「どこでもない場所?」

「ええ。ここを埋め尽くすのは虚無のみ─虚無が在る─そんな場所」

何を言っているのか、その言葉だけは理解出来ている。

しかし内容に頭はついていけていない。

「理解しようとしなくても良いのですよ。さほど重要でもありませんし」

「それよりそれより、あなたはどの世界からやってきたの?」

「世界?」

どの世界、と言われても、どのように表わせというのだろうか。そもそもここは、先程まていたところとは別の世界なのか。

「ええと、世界は…例えるならば細胞のようなものです。同じような世界が複製されることもあれば、分裂することもある。自滅することもある。…そしてここは、その隙間、とでも言いましょうか」

「はあ…」

「あなたはきっと現族(うつしぞく)だよね。うーん、どこから来たかわかれば帰してあげられるかもしれないんだけど…」

「…現族、あなたがもといた世界で暮らす者のことです。その理解で十分でしょう」

情報があまりにも多すぎて、追いつかない。ただ、別の場所に飛ばされたのだなあということだけはわかった。

その様子を察してか、緑の妖精は青い妖精に小声で何かを囁いた。

「仕方ないか…ねえ、それじゃあ、あなたの世界のことを聞かせて?」

「私の世界のこと?」

「ええ。些細なことでも構いませんわ」

世界。まず、人間がいて…。至って普通の世界だが…。国があって、魔術を使う人間がいて、妖精なんかも存在して、あとは…。

「私たち…」

元素が暮らしている。

そこまで話すと、二人は顔を見合わせた。

「あなたの世界が特定出来ました」

「これで、案内できるね!」

「ほ、本当…ですか?」

「うん!あなたの世界は、『明るくて真っ暗』なセカイ!」

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