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Elements  作者: まそほ
星の願い編
72/81

花開く竹なんありける

「竹」

「竹林ですね」

「ルナノーリズの竹林。本で読んだことはあるけれど…見たのは初めて」

「聞いたこともなかったです」

「まあ、観光客向けだから…」

元素たちが依頼以外でお出かけをしない訳では無いが、この2人のはあまりしない。綺麗な景色に関心がないという事ではなく、ただ単にどこかに行こうと思わない。

「動物の姿は見当たらない」

「みんな逃げていったんですね」

「動物を遠ざける術式でもありそうね…、この木枯らしで埋もれて正確に分析できないけれど」

「やはり、中途半端な善心らしきものがあると考えるのが妥当でしょうか」

苦しむ姿を見るのが嫌。しかし植物ならそのような意識はない。そんなところか。

「あら」

何となく上を見上げたスイジーが何かを見つける。竹の先に、葉っぱとも違う何かが見える。

「花が咲いている…」

「花?あの…なんか、もさっとしたやつですか?」

「ええ、あれは竹の花。百年に一度レベルに珍しいやつ」

「なんですって」

「花だけじゃない、実まである」

「どのくらい珍しいんですか?」

「百年に一度且つ数千分の一の確率」

「なんですって」

「言い伝えとしては凶兆を示すけれど…」

「変なフラグを立てないでください」

「でも、それは、竹の花が咲いたら竹が枯れるからで、それを見た人々が不吉に感じただけでもあるの。ネズミが増えるとかいう実害もあったにはあったらしいけれど…」

「ネズミが増えるんですか」

「ネズミも追い払われているのではないかしら」

「それはそれでまずいんじゃ…」

「…確かに」

ルナノーリズの方まで大群で押しかけていなければいいのだが…。

「…?」

「どうかしました?」

「これは…」

スイジーが異変に気づいた。しかしその時には、手遅れだった。

「霧…!?」

気色の悪い紫色の霧がどこからともなく現れ、視界を塞ぐ。

「エルシー!」

呼びかけても返事はない。

(息が…、)

首を絞められているかのように苦しくなる。膝をつき、崩れ落ちる。

(これ、この感覚…は)

照明がフェードアウトするように、意識を手放した。

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