星の声
「呼びかけに応えよ」
「我が心に語りかけし星の子」
「そなたの願いを聞き届けん」
「幾星霜もの間、さまよい続けたのね」
「大丈夫、私が必ず導いてあげるから…!」
「また枯れ木?」
「だそうです。ルナノーリズでだとか」
「それで」
「はい」
「あなたと行くの?」
「もちろんです。いくらボケていてもこの前のことを忘れた訳ではありませんよね…?」
「ぅ…」
Elementsのテーブルのひとつ。二人の少女が向かい合って話している。
スイジーとエルシーである。
「ま、いいです。とにかく資料に目を通したら早く出発しますよ」
あちらまでは列車で数時間かかるため、どこかに泊めてもらうことになっている。
「ルナノーリズに停る列車は、一本逃したらしばらく来ないんですから」
ルナノーリズには、普通列車でしか行くことが出来ない。観光目的なら、近隣の優等列車の停る駅から歩くのがメジャーである。何しろ景色が売りなので、その景色が見たいなら、近くの月光の谷、精霊の森などが良い場所であるのだ。
そして今日は休日の朝早く。普通列車は一時間に一本である。
時間にはまだ余裕があるが、早めの行動を心掛けてもう出発してしまおう。
車内はいつも通り空いている。エルスメノスの人々は、は元々地元から出ることが少ない傾向にあるので、利用者は観光客が主だ。
のんびりと景色を眺めながら、静かに揺られる。輝く海、広がる森、一面の草原。そして、ミデレーリアを過ぎたあたりで、列車は地下へ潜る。外の景色はもう見られず、殺風景なトンネルを進んでいく。地上に線路を敷かなかったのは、環境などに配慮し、景観を崩さないためである。
「またわからず終いにならないと良いのだけれど…」
「犯人は確実によろしくないことをしていますから、何か甚大な被害が出る前に片付けたいところですね」
「恐らく…生命力を吸い上げて、大掛かりな術式を発動させようとしている。村や町を襲わないのは、一体何故…?」
木々の生命力が少ない訳では無いが、圧倒的に人の多い場所を選んだ方が効率的だ。しかし、犯人は、人間どころか小動物まで避けていた。フィスプ付近の森では、スイジーたちが来て焦ったためか巻き込んでしまっていたのだろう。…フララも感じていたように。
植物は、何も言わない。何も話さない。だから、躊躇い無くその生を搾取できる。ほんの僅かな善意が残った結果、その思考へと至ったのか。
犯人がそこまで考えているかどうかというのはわからないが、少なくとも大ごとにしたくないのは確かだろう。
今度こそ、術式を解析して目的を暴くことが出来れば良いのだが…。




