ムーンライト子守り
タイトルに
特に意味は無い
「ちょっと山の風景が呼んでるから、リチェをよろしくね」
と、ベレー。
「他の世界の神に会ってくるゆえ、ニオべを頼んだぞ」
と、ディオーネ。
「研究しろと脳が言っていてね、パルチを頼むよ」
と、シンシャ。
…というわけらしい。
…。
「あたしは託児所じゃなああああい!!」
Elementsは今日も賑やか。
いやあそれにしても、今日も眩しいですねエインお姉ちゃん。さすが、金属元素の中で光の反射率ナンバーワンなだけありますな。
「何でだ…何であたしに預ける?」
贅沢な悩みを持ちやがって、このエインお姉ちゃんは。
「にゅー、ベレーが危ないって言ってたから、エインお姉ちゃんと一緒にいるにゅ!」
「マンマが居ないから…エインで我慢するだけだもん…。いえーい…」
「エインおねーちゃんがいてくれるなら、パルチ、まってる!」
…。
「はいはい、えー。とりあえず何しましょっか」
なんだかんだ言って、満更でもなさそうなエインお姉ちゃん。
「で…デウスエクスマキナ…!」
「にゅー…な、ナラティヴ!」
「ヴ…ヴァルサルヴァほう!」
これは幼女のしりとりである。遊びである。
「…う、ウェアー」
エインのその言葉が、まだ普通に見えてくる。…いや、普通といえば普通なのだが。
「あ…あ…あっ!!」
ニオべの目がキラリと光る。
「アルテミス絶許」
そしてドヤ顔である。そうだ、この子ギリシャ神話のニオべ様だった。
「にゅ、養老天命反〇地」
そんな公園事業をどこで知ったのか、オーバーツ的単語をさらりと言う。どうやって育ってきたのか。
「ち…チアセフェム」
パルチ!?それはまさか、ネット検索しても詳しくはわからない…科学の用語!?
「えっと、む…無限ループ」
怖いね。
「キノコといえば菌…?」
今度は連想ゲームらしいがちょっとやめなさい、椎茸の笠の裏を覗くと菌糸らしき何かが良く見えたりするよね。
「菌といえばウイルスにゅ!」
まあ、連想されてもおかしくないね。
「ウイルスといえば…アデノウイルス!」
どうしてこうなった。
「アデノウイルスといえば風邪!」
エインお姉ちゃん博識。
「風邪といえば、………治療薬がない」
幼女だから判定は甘くしましょうね。
え?実年齢?…何を言っているのかわからないや。
「治療薬がないといえば、お馬鹿さんにゅ」
あらまっ…辛辣。
「おばかさんといえば…さくしゃさん」
え、作者?
「作者といえば、文系よね」
やめたまへ…。
「アラ、エイン。お守りはしっかり出来ているのカシラ?」
チャイナドレスの少女が、いつの間にか横にいた。
「あ、ユキエ…うん、まあね。何でお守りをしているのか未だに分からないけど」
「まあ、いいじゃナイ、お姉ちゃんってのモ」
「べっつに悪くないけど…」
やっぱりとっても嬉しそうなエインお姉ちゃん。天使に囲まれて嫌なわけないよね。
「おねーちゃん、今度は…」
「はいはーい、…じゃ、また後でね」
「ハーイ、頑張ってネー」
ひらひらと手を振る。
昔の彼女はあんなに泣き虫だったのに、成長したものだ。
「エインおねーちゃん、どうして、Elementsができたの?」
「え?」
「にゅー?」
「にゅう?」
「えーっとねえ…」
そういえばどうしてだろうか。もともと、自分がElementsにやってきたきっかけというのは、ユキエから話を聞いたからだった。
不確かな情報だったので警戒していたが、そこにはいくらか見知った顔もあった。
集まってきた元素たちみんなが、他の誰かから話を聞いてきたのだという。
「…そもそも、誰が作ったの…?」
「誰、ねえ…」
最初に集まってきた元素たちで良いのだろうか。しかし、それはあくまで「Elementsという組織がある」と聞いてのことだった。
建物は既に完成していたし、町長に話も回っていたようだった。機能も設備も整えられていたが、それはつまり、設立者と呼ぶべき者が他にいるということだ。
まさか、初期メンバーの中にいたりはしないだろうか…?
「…うーん、あたしにもわかんないわね」
「そうなの?」
「あたしも、風の噂を聞いてここまでやってきたのよ」
「にゅ、そっかー」
つまり、今感じている安心感はひどく不確かというわけだ。それがどうという訳では無いけれど。
「そのうち…わかる…これ、物語の鉄則」
神様!そういうこと、例え間違ってなかったとしても言っちゃダメ!




