空虚の煌めき
「天王ウラノス!」
「海王ネプチューン!」
「冥王プルトーン!」
「三人合わせて?」
「「「………」」」
「考えてなかったのかよ」
厳しい突っ込みを入れるのは、チエちゃん。
「まあ、いいじゃない?久しぶりの再会みたいだし!」
その隣に立っているのは、ねじり鉢巻にはっぴが似合う少女、ストール。今まで出番のなかったストロンチウムである。実は初期から居たのである。
「お祝いにウチが花火ても打ち上げようか?」
「いくら魔法だからってポンポン打ち上げるのはよせ迷惑になる」
「じゃあ私が花火になる」
「核花火とか迷惑どころじゃなくもはや洒落にもならないから」
「消火は任せろー」
「そういう問題じゃなくてな」
「わ、私も何かボケないと!」
「こいつらのこれボケじゃないって言うかボケようとしなくていいからもうそれがボケだから」
チエちゃんさすが、詰まらず返す!プロの仕事ですねこれは。
「…なあ、お前らって神様らしいけど…元素になる前ってどうしてたの?」
やはり気になる、元素になる前。三人はユリやメアリーと違い、人間から元素になったのではない。あまり実感がわかないが、大昔であろう神話時代を生きたご本人様なのだ。
「…」
そっとギリシャ神話とローマ神話の本を渡された。
「ぎりしゃ神話?ろーま神話?」
チエとストールにとっては、耳馴染みのないものである。何せこの世界の神話─厳密にはそのようなものはひとつもないのだが─ではないのだから。
「簡単に言うと、プルトーン、またはハーデスは、冥府の神様よ。神話では男として描かれているけど、元素的修正により女の子になりまし…女の子として生まれました」
「ネプチューンは、まあ、海の神様ってことは知ってるよねー。ギリシャ神話のポセイドンと同一視されたんだよー。性別は以下略。ルーニと一緒だぞー」
「ウラノスは、ローマ神話ではカイルスですね。なお性別は云々。子供は必ずしも体内から出てくるものでは無いのです」
「なるほど…」
「え、チエ、わかったの!?」
「あんまり」
「だよねウチも」
「ま、複雑だからね。でも、どうにせよ、あたしはルーニ、プルトニウムであることに変わりはないわ。ヤパもネプも同様にね」
「そうだぞー、なんの虚偽もない」
「ええ、証明なんてしなくていいくらい確かなことです」
「…そうだな。どうせ証明なんて出来っこないが、それで構わないのだろうな」
「なんか、ウチららしいっていうか」
「そうね、その通りさ!」
いつの間にかルーニやヤパも、すっかり打ち解けている。
人間でないから、心に余裕を持てるのだろう。限りある生、煩わしい俗世間に縛られることなく奔放に生きる。
どこか空っぽであるようにも思えるが、まさしく夢のような生き方だ。




