愉快なアクチノイドでやっぱり大盛況
全員じゃないですけどね。
大穴の天井は、外へと繋がっている。
穴に通じている通路の中でもそこを開けると、青く綺麗な空と草の海が広がっていた。
草の上に座っているのは、オウカ、ルーニ、スイジー、そしてフィーミャとシエフ。
「つまり、私たちは騙されていたということ?」
オウカは、それほど驚きはしなかった。
もともと、何となくだが、ハーミの人々には良い印象を持っていなかった。自分たちを見る目が、どこか軽蔑の眼差しに見えなくもなかったのだ。
「…ごめんなさいね」
突然押し掛けては危険分子だと言い放った。なんと失礼な事をしてしまったと反省している。
「いーのよいーのよ!あなたは、困っている人のためにと行動したんだから」
ルーニは、ちゃんと話せばとても気さくで親しみやすかった。誤解が解けたあとは明るく話してくれている。
「それで、その…そちらの方々は?」
二人くらい、知らない顔が見える。
「あ、えっと、右から、フィーミャ、シエフ。フェルミウム、カリホルニウムよ」
「…えっと、スイジーとはどういう繋がりで」
最も気になることを聞いてみる。
「あーそれは」
「会ったことがあるのよお」
「え、フィーミャ、何で遮」
「そうなんだよ。他にも、エルシー、エイン、キュオルとも会ったことがある」
「その三人もいるのー!?」
二度も言葉を遮られたことも忘れてルーニが目を輝かせていると、おーい、と声が聞こえてきた。
「あっ…!」
スイジーの目が輝くのがわかる。そして、それで誰が来たのかもわかる。
「連れてきましたよ」
エルシーと一緒に歩いてきたのは、チエ、エヌーゼ、シンシャ。
「あーっと、アクチニウムのシンシャだ。話は聞いている」
眼鏡をクイッとご挨拶。
「まあルーニ」
「ひっ」
「お久しぶりですね」
ルーニが非常に怯えている。
「エルシー…ルーニに何かしたの?」
スイジーにジト目で見つめられる。
いいなぁ。作者羨ましいなぁ…。って寒い誰ですか絶対零度放ってるのはぁー。
「…いいえ何も」
((原因はあなたなんですよねー))
しかしまあ、スイジーはそんな二人の心の声を知る由もない。
「あっ、いたいたー。お待たせー!」
今度はエインの声が聞こえる。
傍らのパルチが何かに気が付くと、エインの服の裾を引っ張って何かを訴える。
身を屈めたエインに何かを告げると、エインはポンポンと頭を撫でて頷く。
パルチは、こちらに走ってくる。エインたちは、その後ろをゆっくり歩いてくる。
「おねーちゃん!」
「パルチ!」
パルチが飛びついたのは、シンシャ。
「あんたがパルチのお姉さんね」
「…ああ。この子はプロトアクチニウム…。すまない、パルチが世話になった」
エインは、構わないわと言う風にクスリと笑う。
「あんた、いい妹を持ったわねえ」
シンシャは、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに照れくさそうに笑う。
「…そうだろう、自慢の妹だ」
…そこのKY、プロトアクチニウムが姉じゃないのかと突っ込むなかれ。シンシャはそんなこと知っている。
『私は君から産まれたようだ』。
これは、本当にそっくりそのままの意味だったのだ。
「おー、みんないるしー」
「わー、いっぱいだ!」
「あら二人とも、怪我は…」
二人は怪我をしていない。しかし、もう一人、銀髪少女の姿が目に入る。
「うん、空気が綺麗だ」
「タルテえぇぇぇ!?」
シエフが絶叫する。
「ルーニ!」
また四人、合流する。
「ヤパ!」
ルーニはヤパに駆け寄ると、ぎゅっと抱きつく。
「怪我してなさそうね、良かったわ」
「ええ、ルーニも…良かったです」
元素は世界平均的に見れば高い戦闘能力を持つ。その為、先手を打つ、などといったことをするのは稀だ。それもあってか、怪我人は…。
「…ごめんね」
「構わんよ…」
タルテだけである。
「そう言えば、アクチノイドじゃないのは一人だけだしー?」
「あー、それはね。タルテはここら辺をさまよってて、あたしらが拾ったの」
「そうなんです」
抱き締めあったままこちらを向く二人。いぇすふぉーりんらう゛。
「ちょうど元素狩りが激化してた時期でね、偶然トールに拾ってもらわなければ…あれ、ところでトールは?」
「トールなら確か、南の方に遊びに行ってるよ」
アバウトな説明である。
「…あ、トールってのはトリウムよ。その名の通り…って、これで通じるのってヤパとかスイジーあたりだけか。…別の世界にね、北欧神話ってのがあるのよ。そこの雷神さんよ」
「そうなんだー!」
既に、一度神様に合っているスィエルたちは、ルーにの説明を聞いてもびっくり大仰天までとはいかなかった。
しかし、やはり神様ということには少し驚いている。
「あれ、ところで、これで全員揃ってんの?」
「あ、待ってください」
エルシーが立ち上がる。
「多分、もうすぐ…あ、来ました!」
皆はエルシーの見ている方向に人影を見つけると、目を凝らして見つめる。
「あ」
「れ」
「は」
「ま」
「さ」
「か」
エイン、キュオル、ルーニ、ヤパ、フィーミャ、シエフが、打ち合わせをしたかのような驚き方をする。
草原を悠々と歩くラスボス。
スイジーは、立ち上がって手を振る。
「…フェルニー!」
「…」
「…」
「…」
「…」
ルーニ、ヤパ、フィーミャ、シエフが青ざめている。
その様子を見て、エルシーも苦笑いしかできない。
「無事だったのね…!」
そんな中でも無邪気、それがスイジー様なのだ。
「…あ、えっと、ごめんなさい。私…川のこと知っていたのに黙っていて…」
「いいえ。スイジーが明るいお顔をなさっているので、わたくしはそれで十分です」
スイジーに向けられた笑みは、いつもより優しい気がした。贔屓だ贔屓。許す。
そして、そのまま首を左に向ける。
「…あら、四人。ご機嫌よう?」
「「「「ご機嫌よう!」」」」
運動部の機械的な挨拶のように、声を揃えて言葉を発する。
「えっと?」
「どういう状況…?随分賑やかねぇ」
やって来たのは、フェルニーだけではなかった。
「メアリーにユリ。実はかくしかこれうまめんでれーえふで」
「…あら、まあまあ。そうだったの」
赤髪の少女-ユリは、スカートをつまみ上げて恭しく礼をする。
「キュリウムのユリです」
「いい、ユリ…彼女たちに手を出したら5回以上は殺されるからな?…フェルニーさんに」
シエフがユリにそっと告げる。さあっと血の気が引いていくのがよく分かった。
「…わかりました」
「あ、あたしだね。あたしはアメリシウムのメアリー!よろしく頼むよー」
キラっと星のエフェクトがつきそうなポーズで自己紹介する。
「で…その、私、あなた達の複雑な関係図がよくわからないのだけど」
「そんな複雑じゃないさ、会ったことがあるってだけよ」
オウカの問いに明確な回答を与えるものは誰も居なかった。
複雑な事件に巻きこまれたから…それを語ることは、自然と禁じられていた。




