去りぬる日の
扉を開けた。
綺麗に整った家具と、やはりそれに積もる埃。
壁際のシェルフに、目的のものは置いてあった。
(…これは!)
それは、写真。2人の少女と老夫婦が、笑顔で写っている。
一体なぜ、このような場所に?
疑問が浮かぶのは当然のことだった。何しろ写っていたのは…。
「あら、フェルニー。早いわね」
「何もございませんでしたので」
「…そうね、こっちも」
本当にただの放置された屋敷だった…
「あとは地下ね」
と決めるのはまだ早いようだ。
「地下があるのですか?」
「恐らくね。正確には空洞っぽい何かが。普通の地面とは思えないくらいの原子の存在を感じたわ」
元素ちゃんは、自分を表すそのもの…ようは同じ種類の原子の存在を、察知しようと思えば、可能である。
オウカは、先程自分が探していた方の階段下まで歩いていく。
そして、そこに敷かれているカーペットを退ける。…凄い埃だ。
するとなんということだろう、…目視では何も見えない。フェルニーも近づいて見る。
「綺麗に隠してあるようだけれど…」
オウカは、床板に手を付き、くるりと捻った。すると今度こそはっきりとした変化が起きた。
床板の一部が回転したのだ。
「しかし、持ち手がないと開けにくいですね」
「そうね…」
「うーん、仕方が無いですね」
フェルニーは、スカートの中を漁り出したと思うと、金槌を取り出した。そして、それを振り上げる。
「壊しましょう」
床板は無残に散った。
「なるほど、ドアと同じでね」
消えた床板の先には、ぽっかりと穴が空いていた。
…これはフェルニーのせいではなく、元からあったのだろう。
「降りましょうか」
遠くにに小さな光が見える。
「ええ」
オウカが飛び降り、少し間を空けてフェルニーも飛び込む。フェルニーは魔法では飛ぶことが出来ないが、魔術なら話は別だ。
「着いたっと」
「えいこらさっと」
器用に着地する。
そこは、四角い部屋だった。
洞窟に手入れが施されている。
「…明るい」
「松明がありますね」
松明は今、燃えている。ということは、誰かがここにいるのだろうか?
辺りを見ると、落ちてきた穴とどこかへ続く道だけしかないことがわかる。
先へ進むべきだと判断したのを確認する必要もなかった。
しかし、そこには明かりはない。
「…仕方ないわ、私が松明代わりになる」
「私には近づけないでくださいね」
オウカは手を広げる。そして、そこに小さな炎を生み出す。
フェルニーがオウカの後ろを歩き、通路を進んでいく。




