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Elements  作者: まそほ
序っていうのはどこの小説にもあるんだよ。
4/81

なとりうむあじど~!

なとりうむあじど は ほんぺん に

あんまり かんけい ないようだ!


貧血気味の私なんてすぐ天に召されますよ。

それは、ある日の理科の授業のことだった。

プリントには、たくさんの元素の名前が並んでいた。

しかし。

その中で。

窒素だけが擬人化されていなかった。

そしてさらに。

テストで漢字間違えた。おまけでマルしてもらったけど。

まあそんなことが積もっていて、とりあえず言えることは。

窒素は不幸…薄幸不運…。

「私になんの責任もないじゃん!!」

チエちゃんこと、窒素に怒られた。



「…だってさ。凄いしつこかった」

「へえ、エインちゃんが?」

銀色の髪に瞳、常識元素チエは、廊下を歩いていたらエインに出会ったらしい。

すると、今日スイジーを助けた話を延々と聞かされた。

いやあツイてない!!

「…」

「ち、チエちゃん、次元の壁は越えちゃダメよ?」

「…善処する。それにしても、エヌーゼ。何を混ぜているんだ?」

そう尋ねられた薄い銀色の髪に黄色の瞳、真っ黒なドレスを着た少女は、白い手でビーカーの中の何かをかき混ぜながら、ウィンク。

「ひ・み・つ♥」

「ああそうか知ってた」

無表情で返す。

「もう、あなたが聞いたのに冷たいわねえ」

仕方ない、言動がいつもアブソリュート・ゼロだから。

「誰が絶対零度だって?」

「チエちゃ~ん、次元の壁が~」

越えたい~。

と、それは置いておこう。

「にしても、小さなボディーガードさんは一緒じゃなかったのかしら?」

「ん?…ああ、さっきの話か。…あいつのことなら、さっき広間に居たのを見たが」

「あの子、不思議とスイジーを気にかけているものねえ。化学的な関わりはあるにしろ薄いのに。化合物を作るとか、医療関係の役割を交代したとか」

「…いいんじゃないか、性格の問題だろ」

「ふふ、それもそうね」

かき混ぜていたビーカーの中身を容器に移すと、蓋を閉めて密閉する。

…近くに似たような容器がいくつかあり、箱に詰められている。君子危うきに近寄らず、放っておこう。

そう思いながら様子を見ていると、突然ノックの音がした。

「どうぞ~」

エヌーゼが言うと、ドアを少しだけ開けて、少女が顔を覗かせる。

「あーら、エルシー。珍しいわね、何の御用かしら?」

「…いえ、人を探してただけです。居ないみたいですね」

失礼しました、と素っ気なく残して去っていく。

二人はしばらくドアを見つめ、顔を見合わせる。

そして、春に咲く花のように微笑んだ。

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