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Elements  作者: まそほ
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籠から出た蝶

拘束が解かれた。

手足は自由になったが、スイジーは動かないままだ。

「無駄に手を煩わせないでください」

その変わらない悪態を聞き、肩の力が抜ける。

「…」

しかし何だか気まずくて、やはり黙っていた。

「………大きな迷惑より小さな迷惑の方がまだマシだってことですよ」

手を引かれ立たされる。

「殺してませんから気にする必要ないですよ」

そして、少女、エルシーはミホに視線を移す。

「どうかしましたか?」

驚いてこちらを見つめる様子の彼女に声をかけると、びくりと肩を震わせた。

「ま、さか…あの…果実の森で……」

今度は二人が硬直する。

「…果実の森がどうかしましたか」

「…あちきは、まだ意識を手に入れてすぐのとき、大分甘やかされなんした。して、1度だけエルスメノス王国へ来たことがありんす。その時…フルチェリカに訪れなんした」

果実の里フルチェリカ。果実の森に隣接している。

「森に出かけ、見かけなんした…。走り去る(ぬし)を」

「…確かに私である可能性はありますが」

「後ほど知りんした。あの時期から考え、恐らく化学者から逃げていんした…」

「ええ、そうかもしれないですね」

ミホは少し間を置いた後、立ち上がって言った。

「もし…もし、主らが…良いならば。あちきを、ビアンカまで連れていってくれなんし」

ビアンカは良い町だ。分け隔てなく接してくれる人がとても多い。

だから、元素はいずれビアンカに集まる。

かつて誰かがそう言ったように、また一人、新しくやって来たようだ。

「あちきはミホ。…ホルミウム!」

華やかな籠から、蝶は空へと飛び立った。


スノーゼルからは、その名の通り花が多い森丘のブロッサムフォレスト、アルシャフネリーを経由してビアンカまで列車で行くことがでる。

その列車に、三人は乗っていた。

「それならもしかすると、希土類かもしれなんし」

枯れ木の件を話すと、ミホはそう言った。

意外な情報源であった。

彼女によれば、希土類元素同士では、何となく気配を察知できるらしい。似通った性質であることに由来するのだろう。

最近ここらを隠れながら逃げていたらしく、その際に気配を感じることがあったらしい。

昨日になって突然消えたらしいが。

しかし、スイジーも今日はあまり強い力を感じなかったのだから十分関連が疑える。

「誰なのかまでは分からさんすが…そのような気配はしんした」

「なるほど。有益な情報を得たかもしれませんね」

ビアンカに着くまで、やはりスイジーはあまり喋らなかった。

彼女はそんな子。


本当運が悪いわ。どうして悉く彼女と遭遇するんでしょ。

溜息をつきながらそんなことを思う。

彼女の瞳は、もたれかかっている木の葉と同じ深緑。

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