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Elements  作者: まそほ
希之女神編
24/81

嫌な伏線だったね…

その先の部屋は、とても大きな空洞だった。

松明の明かりで、薄暗く照らされている。

床や壁などは白く美しい大理石で装飾されているようだ。

そして、中心には、これもまた美しい女性の像があった。見上げてみると、その真上には、ステンドグラスのようなものがあり、どこから来たのか、明かりが差し込んでいた。どうりで壁から離れた場所も薄暗くなっているわけだ。

「なんか、すごく綺麗だね」

「でも、これ…泣いてるしー?」

よく見るとそれは、涙を流して立ち尽くしている様子が表されていた。

「なんだろう…」

そう言ってスィエルがまじまじと見つめていると、急にそれにヒビが入り出した。

「スィエル、今何か…」

「な、何にもしてないよ!!」

「おやおやー…これは降りてくるよー」

ネプが意味ありげに言うと、像のヒビは全体に広がり、やがて煙をあげて崩れた。

何が起きたのかと思いながら見れば、土煙の中から出来てきたのは一人の少女だった。

金色の髪はなびき、白い衣は揺れる。

まるで、白昼夢を見ているかのようだった。いや、最初はそう疑った。

ぼんやりとした幻想的な光をまとったその少女は、ゆっくりと目を開いた。

光は空気に溶けるように消え、あたりは先ほどと同じ景色に戻る。

突然少女は腕を振り上げる。眩い光が上に現れ、拡散して飛び散る。

「あたると痛いよー!」

ネプが叫んだのを聞き、5人はそれを避ける。

そのまま呆然としている中、ネプは一歩歩みでる。

「やあ、お寝ぼけ女神。私だぞ」

空色の目がネプを見据える。

「………私だぞ?」

反復するように、女神と呼ばれた少女は言った。

「おはよう、随分長いお昼寝だったなー」

「む…お昼寝じゃない、冬眠」

「そうかそうかー。それで何だって急に起きようとしたんだー?」

「起きようとしてない…誰かが…何かした…?」

「曖昧すぎるぞー…」

普通に会話をしている。その様子を見て、チエがようやく口を開く。

「ネプ、そいつは…」

「おー、こいつか?こいつはニオべだぞー」

「ニオべ…だよ…」

「ギリシア神話の神ニオべ。タンタロスとディオーネの娘だー。何百年か前にあったことがあるぞー」

「うん…その通り…」

「神話…?別の世界から来た神様?」

「そうとも言えるなー。でも、ニオべはこの世界に適応している。つまり、この世界の住人である条件を満たしているんだー」

何を言っているのか、理解することは出来なかった。しかし、とりあえずこの世界の住人であるらしいことはわかった。

といっても、この世界の住人という言葉もあまり耳慣れなかったが。

「そこの薄幸そうな元素なら、勘も良いだろうしわかりそうだなー」

「あ゛?」

「ごめんなさい」

「…ニオべと言えば、そいつが由来の奴がいたな」

「そ、そういう事だなー」

ギリシア神話のニオべ。その女神の名に由来する者とは…

「彼女は元素番号四十一番、ニオブ。さっきあった扉の『我』というのは、彼女のことを指していたんだろう。結局分解していって残ったのはニオブだったからな。そこから予想はしてた」

「んー…そうだったかもしれない…?」

「本人が疑問系でどうするんだ一体」

「こいつはそんな奴なんだー」

口を閉じれば神々しく、口を開けば威厳は消える。

仕方ないさ、(見た目)幼女だもの。

「はあ…それで、これからどうしろって言うんだ?」

「そうね…報告書をまとめる?」

「ママ…」

ニオべはキョロキョロと周りを見回し、呟いた。

「え?」

「ムッターがいない」

「むったー?」

「マンマ…」

「………お母さん?」

「ふむ。確か親も元素に…、タンタルのことか?」

「そうかも…?」

相変わらず疑問符付きの回答である。

「もうツッコまないぞ」

「マムも近くにいると…思った…」

「自信持っていいよ自信」

「まーとりあえず、まだ先があるみたいだぞー?」

ネプが指さす方向には、確かに木の扉がある。

「進みま…すよね」

「そだねー」

「この子はどうする?」

「むー……、待ってる…」

スィエルに頬をムニムニされながらそう答えるので、六人で行くことにした。

「やっぱこれは樫の木だろうなー」

「神様だもんねー」

扉を開けると、ひんやりした石の通路に出た。

その先へ、ゆるーくゆるーく進んでいく。

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