そんな事したら海王様に怒られるんじゃ…
山の隙間から、太陽が顔を覗かせる頃。
船着場には五つの影があった。
「調査するぞー!」
「朝早くから元気ね…」
元素5人組は、まさに今海底洞窟の調査に出かけようとしている。
「お嬢ちゃんたち、準備はOKだぜ!」
小型船に乗った男が手を振る。
5人は船に乗る。途中までは船で行き、潜る時には…驚きの方法を使う予定だ。
「それじゃあ出発すんぜ!」
エンジンが動き出し、飛沫をあげながら船は進んでいく…。
「最近ここら辺は人が多いなー」
海のど真ん中に、ぶかぷか浮かんでいる少女がいた。
彼女が身につけているものと言えば、小さなクラウンとビキニ、そして浮き輪だけである。
浮き輪の上に仰向けになって身を預け、空を仰いでいる。
青緑のツーサイドアップの髪はふんわりと広がり、濡れた白い肌は朝日に照らされ輝いているように見える。
「何か事件でもあったのかー…?」
大して興味もなさそうに呟く。
実際、どうでもいいのだ。自分に危害がないのなら。
「…」
しかし、今回ばかりは事情が違いそうだ。
「…あの船」
指を鳴らすと、浮き輪は貝のボートに姿を変えた。
少女はその上にまたがり、目標を目指す。
「今日はよく晴れてますねえ…」
ホウコは空を見上げながら、のんびりと言う。
「こういう時こそ、何かしら起こるかもしれないしー」
「縁起でもないこと言うんじゃありません!めっ!」
スィエルの切れのいいチョップがシータスに命中する。
「ほらほら、あんまりはっちゃけ過ぎないの。落ちちゃっても知らないわよ」
良かった、オウカはまだまともだった。チエはほっと一息つく。
「もし落ちて、サメに会ったら殴る。シャチに会ったら殴る。とりあえず殴るのよ」
…まだまともだ。きっと他と比べると。
「で、結局どこまで行くわけ?」
「んー、船長さん、あとどれ位かわかります?」
「そうだな…もう少しだ」
船で途中までは行く…と書いたが、その理由を説明しよう。
単純に、海底洞窟が見つかったあたりは何故か風が強く波も荒いからだ。その理由も調査中らしい。何故かっていう魔法の言葉。
チエは、ずっと手に持っていたあるものを耳に取り付ける。
ケイが作ってくれた、通信機である。
スイッチを入れると、ある場所に繋がる。
「誘導は頼むぞ」
『了解致しました』
小型通信機から聞こえるのは、フェルニーの声。
「そろそろだな…ここら辺で船を止めるぜ」
船があげる飛沫はどんどん小さくなる。
やがて船は完全に停止する。
「フェルニー、よろしく」
『そこから…南西、ちょうど7時の方向でございます。距離は1,4kmほど』
「OK、任せて!」
スィエルは元気よく立ち上がる。目が輝いており、とても活き活きしている。
「…本当にやるのか」
「え?そうだよ?」
けろりとした顔で振り向くスィエル。
「じゃあ、行きまーす。ぱっかーん!!」
その擬音通りに、海が割れた。
割れたのだ。
モーゼ(物理?)である。




