誰の誘導?
アンダンサは、エルスメノス王国の南沿いに位置し、珊瑚海に面する小さな村である。
しかし、村は大変活気に溢れている。
隠れた旅行スポットとして、一部では非常に高い人気を得ている。
この繁栄は、女神の加護によるものとされている。六百年ほど前に女神2人が降臨したという。
珊瑚海独特の魚介類もあり、近くの街でも有名である。
最近になって海底洞窟が発見されたが、私はオカルティックな何かを感じてならない。
だって、海の底にいきなり現れたとしか思えない!
魔術師の端くれとして、放っておけないわ!
「ねえスィエル素が出てる」
「はっ…つい興奮して…」
「というか何のためのレポートよ」
「気分です」
図書館から帰ると、既に七時前になっていた。
ちょうど良い時間である。
「まあでも、めぼしい情報は見つけられなかったわね」
「……案外そうでもなかったりしてね」
「………いや確かに神様の主張激しいし何らかの関係性がある気がするけど確証がないでしょ?ミスリードだったらどうするのよ」
一体誰にリードされているというのか…。
2人が言い合っていると、
「ただいま」
「ただ今帰りましたー」
チエとホウコが戻ってきた。
「おかえり。…一応聞くけど収穫は?」
「小さなことならな…」
チエはそう言うと、ホウコの方を見る。
ホウコは、私!?と驚いている様子だったが、やがて、モジモジしながら口を開いた。
「最近、地震があったらしいんです。小さなものですが、段々震源がこちらに近づいているとのことで、住民の方が心配なさってました」
「地震…なるほど、シータスが戻ったら詳しく教えてくれるかしら?」
ほんの少し遅れて、シータスは帰ってきた。
オウカがテーブルを囲んで座るように指示をし、五人は着席する。
「まあ、今日はとりあえず平和でしたと。それぞれ、収穫らしきものでも何でも話しましょう。…ホウコ、地震について、お願い」
「はいっ!ええと、住民の方によると、最初の地震は二週間前。そこそこ大きかったそうですが、津波などの被害は出ていません」
「神の御加護かな?」
「あっ、お散歩してる時に出会った若い女性にも聞いたけど、そんなことを言ってる人がいたような…」
「な、なんだってー!」
スィエルの目が輝きを放つ。これは真実味が増してきた、と思っているのだろう。
「そういえばそうですね。えっと、それで、その後も五、六回地震があったようですが、不思議なことに、大きさは小さくなっていて、しかし震源は村へ近づいているとのことで」
「震源が近づいているのに小さく…?まあ、大きくなるよりはいいけども…」
「んー…まあ、そりゃそうだけど、もっと悪いことの予兆かもよ?」
「一つの可能性としては有り得るな」
この先悪いことが起こると用心するのも大事だが、いつ来るかわからないものに怯えても仕方ない。
「…やっぱり洞窟がクサイですな」
心底楽しそうにスィエルが言う。イマイチ緊張感が感じられないが、オウカは、そういえば今までスィエルに緊張感があった試しがないような気がしていた。
「で、シータスはどう?」
「んー、関係あるかは分からないけど、地面に埋められたダイヤモンドを見つけたしー」
「埋められた…?」
「地表近くに、固まって埋められてたんだしー」
見つけた経緯を詳しく話す。
「なるほど。それは気になるな…」
「人為的に埋められたたくさんのダイヤモンド…何だろう?」
「洞窟に関係があるかはわからないけど、覚えておきましょう」
「そうですね。…ええとそれで、お二人は?」
「ああ…」
2人は村長から聞いた話を要約して話した。
「なんか怪しすぎて逆に騙しに来てるんじゃないかって思うんだけど…」
おっとチエちゃん、一体誰に騙されるというのだろう。




