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Elements  作者: まそほ
希之女神編
18/81

十四人の子

それは六百年ほど前のこと。紙と筆はすでにあった時代の話じゃ、信用性は十分じゃろう。

この世界特有の神様はいない。皆、別の世界から来たものだとされておるのは知っておるな。この世界で羽を休めるのだという。

そして、このアンダンサに降臨した小さな女神様がおったそうじゃ。

浜辺に降り立った女神様は、悲しみに暮れていた。話を聞けば、たくさんいた子供を全員殺されたらしい。

放っておくことなどできず、村人は女神様を丁重にもてなした。

料理や舞踊、そして談笑。アンダンサに神様が降臨したのはその時が初めてだったんじゃと。きっと手探りであたふたしながらだったんじゃろうなぁ…。

して女神様じゃが、親切で親しみやすかったのじゃろう。人間に対し非常に友好的だったそうじゃ。

美しい自然を見て、女神様はだんだん落ち着きを取り戻してきた。そして、恩義を感じ、報いたいと考えられた。

女神様は村に恩恵を与えてくださった。

周辺の賊などの侵攻のみならず、災害を遠ざけてくださったそうじゃ。なんとも有り難いことじゃ。

今日までこの村が在り続いているのも、女神様のお陰じゃな。

そしてある日、もう一人、女神様が降臨した。

大変強力な女神様であったそうで、村人は警戒した。

しかし、その女神様は娘を探しに来たのだと言う。

その娘こそ、小さな女神様。二人はしばらくアンダンサに滞在した。

これは正しいかどうかわからないが、母親の女神様はアンダンサに繁栄の加護を授けたそうじゃ。その時から村が賑わい続けているという。

そしてある日、二人は海に出たまま帰らなかった。

恐らく静かに元の世界へ帰ったとされておる。

しかし今も村が繁栄しているということは、まだきっとわしらを見守っておられるのじゃな。

ここら辺では、教訓話として取り上げられているぞ。

しかし人の手によりかかれた日記じゃ。どこまでが真実かはわからない。



話を終えると、宿主はこほんと咳払いをし、

「…ということじゃ、あくまで有名な部分じゃが。図書館なんかにはもっと詳しい資料があるじゃろう、気になるなら見てみなされ」

「いっやー素晴らしいです、たぎります」

「…今回の件と関係あるとは思えないけどね」

「うぐ」

「ふぉふぉ、知識は多いに越したことはありませんぞ」

宿主にお礼を言い、二人は図書館へ行くことにした。

今回のことについても何かわかるかもしれないし、知識はいっぱいあっても損ではないだろう。



人が寄り付かないような木々の隙間をすり抜け、シータスは走っていた。

(多分、こっちの方に…)

感覚だけを便りに、目的の場所を目指す。

「…あった」

草も映えていない場所があった。

(なんでこんなところに…)

炭素を操ってスコップにし、土を掘り返してみると、そこにあったのは宝石。

しかも、大量にある。

天然…ではないだろう、形が整えられている。

「…まさか、誰かのへそくりじゃないだろうしー」

しかし、誰のものかわからない。

こんなにたくさんの…ダイヤモンドを奪ってしまうという結果になるのは避けたい。

まあ、特に問題がなければ放置でもいいだろう。

(…いやでも、こんな不自然にダイヤモンドがあること自体問題かもしれないしー)

やっぱり、誰かをつれてくればよかった。

三人よれば文殊の知恵。まさしくその通りである。

スィエルがいたりすれば、魔術的なこともわかる。オウカは知識が豊富である。チエは洞察力が鋭い。ホウコは様々な視点から物事を見れる。三人で文殊の知恵ならば、五人ではもっと良い。船頭多くして云々は知らない。

(とはいっても、なにか起こってるわけでもないしー、今回の件とも関係があるかどうかは…うーん)

そして、悩んだ末に出した結論は、

「…困ったときの保留だしー」

ダイヤモンドが無くならない限り、この場所はわかる。ならばまた今度来ればよいだろう。

シータスは月の方角だけを便りに、戻っていった。


「…」

ローブの少女は、木の裏でその様子を眺めながら、ほっと一息ついた。

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