Oh my god …
この涙の正体は何なのか、それはちっとも分からない。悔しさか、情けなさか、それとも悲しさか。分からない。しかし、このドラゴンを見ると涙が止まらない。
そして、思わず言ってしまった。
「なにがあったんだ。」
すると、相手は驚いたような顔をした。それもそうだろう。ドラゴンから見たら、相手はどう見ても言葉を使うことができない種族だからだ。もちろんそんなことを知らないシンキョウは相手がすっかり黙ってしまったことに余計なことを聞いたかもしれないと焦る。
うわっ余計なこと聞いたかも。やっちまったよ。あちゃー。どうしよう。あれ?涙は止まったな。
シンキョウが悩んでいる間、魔龍の方も悩んでいた。
それは何故この種族が話せるまでの知能を持っているのかということ、いや、だいたい見当はついているが。それと、こやつを利用すればあいつらをやれるかもしれないということだ。魔龍にとって奴らを殺す事は己の全てだと考えている。しかし、ある親友からは他族の命を粗末にするなと言われている。彼はどっちにしたらいいのか分からないのだ。その時、脳裏にある男達の顔が浮かぶ。我が友の命を奪ったあの男達の…。その瞬間、決意した。それは………。
その頃、シンキョウは目の前で怒ったり、迷ったりと表情を目まぐるしく変えるドラゴンにそんなにまずいことを聞いてしまったのかと焦っていた。
あぁ、まだ悩んでるよ。なんか困ってそうだな。うお!今度は怒った!あ、なんか決意した顔だな。い、一体俺はどんなことを聞いたんだ…。ん?な、なんかこっち見てる。
思わず目を合わせてしまった。
なんか目を離しづらいな。
両者とも何も言えない不思議な緊張が高まって行く。
そのような緊張が10分ぐらい続きやっと魔龍がこの緊張から抜き出したいと言わんばかりに早口で話しかける。
「貴様は何者だ。」
「へぇ?あ、うん。じゃなくて、えぇーと、人間です。」
あまりにも唐突だったため、変な返事をしてしまった。それでもちゃんと質問の答えは伝えた。
しかし、
「嘘はつかなくていい、誰にも言わん。」
まるでおれは分かってるぞ。とでも言っているように自信満々に正面から否定してくる。
「は?嘘じゃねぇよ。俺は人間だよ。」
それが気に食わず反抗的な言葉で言い返してしまった。
「ふん、我をなめるなよ?貴様の種族は言語を使うことはできん。しかし、貴様は出来ている。それに我の 鑑定スキル を使っても貴様の本当のステータスは見て見れなかった。つまり、貴様は我と同等以上の 隠蔽スキル を持っている訳だ。しかし、そんな奴この世に中々いない。しかも貴様は 変形 もしている。よって我は聞いている。貴様は何者だと。」
「そんな自信満々の顔で言われてもしらねぇよ!何言ってんのかわかんないし。」
「何故そこまでとぼける?もうバレているのは分かるだろう?」
「あ?何言ってんだ、さっきから。俺は人間であり、ここの知識は全くないんだ。」
「そこまで言うなら、これでもくらえ。 アクアシャワー 」
そう言うと空から雨が降りだした。いや、よく見ると俺達の周りだけに雨が降っている。そして雨が自分の肌に当たり、肌にこびりついた血が流れていく。ついに全ての血肉が落ち、自分の緑色の肌が露わになった。それに気づいたシンキョウは小さく呟く。
「Oh my god…」
どうでしょうか?面白いですか?
ここをこうしたらいいよ。などの指摘もお願いします。