神界で
視線:中川 芯強
「お…!…きろ!」
「ん?なんだよ?うるさいなぁ…。」
「……!お…ろ!」
「うーん、あと5分待ってくれ。」
「さっさっと起きんかあぁぁ!!」
バチバチバチイィィ!!!
体中に電撃が走った。
「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! な、なんだ!?」
「やっと起きたか。大丈夫かのぅ?本当に……するのかのう」
「誰だよコソコソと何言ってんだ?って言うかここどこ?ん?なんで声が出ないんだ?おい、お前ここって………。うんぎゃああああぁぁぁ!!!」
「なんじゃ?今更、我の体を凝視して…。正直きもいぞ。」
腹立つことを言っているがそんなこと関係ない。何故ならそれは……
「あぁ、そう言えばお主の世界ではこう言う姿の者は居ないのか。」
そう、目の前にいる人?は明らかに人ではないのだ。確かに二足歩行であり、手も二本あるのだが、耳は顔の横ではなく頭の上にあるのだ。しかも顔は完全に猫なのだ。それに、神さまが着てそうな服を着ている。簡単に言うと神様がよく着るような服を着た猫が立っているのだ。なんともシュールである。驚くのも無理はない。
未だ俺は呆然としているように見える。
「まぁ良い。単刀直入に言うぞ。これからお前を転生させる。」
立った猫がいたづらが成功したような顔でそう言う。
しかし、
「うん、そうだろうね。」
一瞬で態勢を立て直したシンキョウはそう言った。
だってまあ予想していたし。
「まぁ驚くのは分かるが落ち着く……え?」
「ん?どうした?」
立った猫(次から省略)の顔が段々と泣きそうな顔になっていく。
「え?な、なんで驚かないのだ?おどかそうとしたのに。う、う、うわわああああぁぁぁぁぁぁん!!!」
「お、おい!どうしたんだ一体!大丈夫か!」
「大丈夫じゃないもんうぅう、ばぁかぁぁあ!!!」
「えぇ!?なんで!?」
「うわああぁぁぁぁあああん!!」
それから1時間程慰めてやっと猫は落ち着きを取り戻したのだった。
「ひっく、ひっぐ、我は神なのにぃ、なんで、どうしてなのだぁ。」
「あ、やっぱりそうだったんだ。」
「!…。なんでそう思ったのだ。」
ねこ、もとい神様が涙目で睨んでくる。顔が猫だからわかりにくいが。しかし、神である為か、かなりの威圧を放っている。さっきまで泣いていたが。
一瞬、怯んだがさっきまでの事件を思い出し余裕ができた。
情報不安定な奴だなぁなんて思っていない!断じてない!大事なことだから2回言った。
「経験かな?」
「経験だと!嘘をつくな!これは初めて行ったのだぞ!」
「そう言うことじゃなくてさぁ、本でよくあるだろ。異世界転生とか異世界転移とかさ。」
なんで田舎の坊主が知ってんだ!なんて思った奴、実はこいつわざわざ本を田舎から都会まで買いに行っていたのだ!
ちなみにこのことは秘密にしているつもりである。もう一度言おう。つ・も・りである。
まぁ、それでライ○ノベルにはまり、かなりの異世界転移、転生を読んだのだ。何が言いたいのかと言うとこう言う現象は異世界転移か異世界転生のどちらかだと言うことがこの神みたいなのを見た瞬間に予想していたのだ。さっき呆然としているように見えたのは頭の中で整理していたのだ。
「なに!そういえばそんな物もあったような…。」
そう言い終わる前に神様は目を閉じて何かを思い出そうとする仕草をする。
それを見て 暇だなと思った俺はそういえばここどこだっけと回りを見渡す。少し周りを見渡すとやはり神っぽい雰囲気が溢れる所だった。壁は無く、ただただ先が見えない真っ白な世界が広がるだけだった。少しの間それを眺めていたが、やっぱりなにも見えないので視線を下に降ろした。ではここで問題だ。実際にやったらすぐ分かるが、仁王立ちをして下を見たらなにが見えるでしょう。
正解は底が見えない地面と緑色の腹と足でした。
「は?」
「なるほど、確かにーーーー」
「なんだこれりゃぁぁぁぁああ!!!!」