???より
主人公ではない視線からです。
視線:???
はぁ、はぁ、
うぐっ!ここまででしょうか。全く、私の選択能力には目を見張るものがありますね。もちろん逆の意味ですけど。それにしてもここはどこでしょう?周りにあるのは木、ですかね。たくさんありますね。森でしょうか?
そう考えた次の瞬間
ガルルルルルルル!!グルオォォォォァァア!!ドーン!!バーン!!ズーンズーン!!ジュウゥゥゥゥゥ…ガアアアァァァァァオオォォォ!!ゴゴゴゴゴゴゴ!!
遠くから何かの雄叫びと地面の悲鳴が聞こえてきた。
うるさいですね。誰でしょう?上位の魔物でしょうか?それとも…もう、ここまで…いや、そんなことは…。まぁ、行ってみたらわかることですね。
ここまでの思考、遅いように感じるが実は普通の人間の1000倍のスピードでおこなわれている。
学生が聞いたら喉から手が出るのではないだろうか。そんな ??? は今にも消えてしまうぐらいに薄くなりながら戦っている魔物を一目でもいいから見てみたいと思い速度を上げる。
ガオオオオォォァァァ!!ザシュッ!グルオォォォォァァア!!グザザァァァァァ!!ゴロゴロゴロ!!
だんだん音が大きくなってきた。
倒れている木に隠れて音のする所を見る。そこから視界が開けていたためよく見える。そして、そこには伝説とも言われている魔龍ウシュムガルとこちらもまた伝説と謳われている聖獣ムシュフシュが戦っている姿と、、、
そのど真ん中で堂々と寝ているゴブリンの姿があった。
・・・(一瞬の沈黙)
は? なにをしているのでしょう?どうしてあんな所で呑気に寝ていられるのでしょうか?バカなのでしょうか?あと、なんで生きているのでしょうか?確かにあの二匹からは眼中にないのでしょうが…、余波とかで吹っ飛ぶと思うのですが…。
「グギャゴ!」
あ、吹っ飛んだ。え?きゃっ!こっち来た!
とすん
ここから3メートル先に落ちて来たんですがどうしましょう?あ、やっぱり死にかけてますね。
普通の状態ならばウシュムガルとムシュフシュを見た瞬間に恐怖や歓喜などの、もうお笑い芸人もビックリなリアクションをするのだが、そこにゴブリンが寝ていると言う、なんとも残念な驚きで それこそ伝説の生物には眼中に無かった。
うーん、あんな馬鹿馬鹿しいことをしてまだ生きてるなんて…。いや、これはたまたまですね。
「グギ…グギャァ!」
目の前のゴブリンが苦しそうに鳴く。
可愛そうにまだ若いだろうに。今の私にはどうすることもできない。せめてもう少し前に会えたなら救ってあげれたのに…。私も、もうすぐ死ぬのです。ん!?そうだ!どうせ死ぬならこの子が生きる可能性のあることをしましょう。失敗したら死にますが…。どうせなら賭けに出るのもいいですよね。よし!
「グギ、グググギガ」
どうしました?大丈夫ですよ。多分。
そう、彼女はさっき会ったばかりのゴブリンに彼女の全ての力を捧げようとしているのだ。もちろん普通なら彼女でもこんなことはしない。しかし、死の淵にいる同士としてなにか感じる物があったのかもしれない。して、その方法はとてもシンプルであり、非常に危険で高度な技術が必要である術だ。
それは、、、
対象相手のスキルになることだ。
我が身、ここを死地とし、かの者に我が全ての力をかのスキルとして与える。
「グギ?グギグギググギ!」
え?!なにこれ!
次の瞬間、辺りが光で真っ白になった。
この光は後に森全体を囲み、この世界の大不思議の一つになるのだが彼女らはまだ知らない。