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第百三十七話



 魔王と側近三名 VS ヤマト、ユイナ、ルクス、エクリプスの戦いが始まる。

 魔王の居室は広く、一対一の戦いが分散するように四か所で行われている。


 ルクスと戦っているのは、角が二本、頭部の横に生えている魔族だった。プライドの高そうなキツイ性格がにじみ出ている。

「猫ごときがこの部屋に足を踏み入れるとは、なんたる失態」

 成猫サイズのルクスを汚物を見るように睨む二本角の魔族の武器はレイピア。


 話しながらも素早い動きで飛び出した魔族は、右手に持ったレイピアで鋭い突きを連続で繰り出してくる。

「すみませんにゃ、うちのご主人様の決定には逆らえませんのにゃ」

 紳士を思わせる口ぶりで謝るルクスは、レイピアによる突きの全てを槍によって難なく防いでいく。


 双方の突きの応酬によって、先端と先端がぶつかり合う。

 どちらも高速で威力が高いが、拮抗しており、どちらかが崩れるような様子はない。


「なかなかやりますにゃ」

「猫に褒められても嬉しくはない」

 楽しそうなルクスに比べて相手の魔族は興味ないと冷たく一刀両断する。


 一発でも突きの速度や威力が落ちればそこから一気に崩れてしまう。

 しかし、十、五十、百を超えても二人の動きに変化はない。


「なかなかやるな、猫のわりには」

「ふふっ、こちらは褒められて照れますにゃ」

 静かな声音ながら相手を称賛する言葉を今度は魔族がかけてくるが、ルクスは素直に喜んでいるようだった。


「――しかし、このまま戦いを続けても仕方ない。猫相手にはもったいないが、さて少し本気を出させてもらおう」

 そう口にした次の瞬間には、魔族の左手にもレイピアが現れていた。また、先ほどまでの雰囲気とはまた違った冷たさが放たれる。


「にゃ!?」

 そして、魔族は両の手に持ったレイピアで先ほどと同じ突きを先ほどと同じ速さで繰り出していく。

 単純に二本になったことで、手数が倍に増えている。


 ルクスもなんとか応戦しようとするが、槍の数が増えるわけではなく、徐々に押し込まれていた。


「ふっ、それがお前の限界だ!」

 自分が有利に立てていることに気をよくした魔族の攻撃速度は更に上がり、ルクスに止めを刺そうとする。


「にゃんと! これは! きついにゃ!」

 ルクスは槍で突きをある程度防ぎ、防ぎきれないものはなんとか避けて、剣戟で体毛が多少持っていかれる程度でなんとか対処している。


「さっさと、死んでしまえ!」

 大振りになった魔族の攻撃をルクスは避け、その大きな隙をついてスキルを発動する。

「“クアドラブルスラスト”!」

 これまでで最も強力な一撃をルクスは放つ。

 とっておきを見せないようにここまでただの突きのみで対応していたルクス。


 この攻撃は魔族も予想しておらず、複数の連続突きのうち、二発を喰らってしまうこととなる。


「――ぐはっ!」

 右肩と、左わき腹に突きをくらい、血を流しながら魔族はその場でたたらを踏む。


「なかなか、やる、ようだが……我々は回復力が強い! くはは、狙うなら両方の手を狙うべきだったな!」

 最初の冷静さが嘘のように戦いに昂る魔族。傷を負った身体は一瞬で完治とまではいかないが、徐々に回復していく。そして、左手にあるレイピアで攻撃を繰り出そうとする。


「さて、それはどうかにゃ!」

 跳躍で距離をとるルクスはそう言うと、ばっと右手をあげた。

「一体なにを?」

 ルクスを見る魔族は困惑する。その行動になんの意味があるのか、右手をあげ左手に槍を持っているが、相手は攻撃に移る様子はない。かといって魔力反応があるわけでもない。


 一瞬、間ができるが、それがルクスのはったりだと気づいた魔族ははっとしたようにレイピアでルクスを突こうとする。

「死ね、ぐはああああああ!」

 防御する動きもみせないルクスの死を確信した魔族は、反対にその場に倒れてしまった。なぜか自分の身体の力が抜け、やられてしまったことを信じられない表情で崩れ落ちていく。


「……ふう、奥の手は隠しておくものですにゃ」

 四色の召喚獣たちがそれぞれ技を発動し終えてルクスの元へと集合する。

 ルクスは部屋に入る前から召喚獣たちを出し、部屋に入る前に姿を隠してもらっていた。


 ルクスが出した指示は一つ、右手をあげたら戦闘相手に全力で攻撃をすること。


 元々ダメージを受けていた魔族はそれに加え、四聖獣の子どもたちの攻撃をくらったことで意識を絶ってしまっていた。ボロボロの姿で地に伏せた。


「これで、私たちの勝利ですにゃ」

 四聖獣の子どもたちに囲まれつつ、すっきりとした笑顔でそう言うと、ルクスは別の戦いに視線を向けた。






「――ヒヒーン!」

「くそっ、馬ごときが生意気な!」

 部屋の入口近くではエクリプスが巨大な一本角の魔族と戦っている。

 角に相応しい筋骨隆々の巨体の魔族は、さらに大きなこん棒を振り回していた。


 魔族の大振りな攻撃は、素早い動きのエクリプスにかすりもせず、ひたすらに翻弄されている。

 そして、エクリプスは隙を縫って足に蹄による鋭い攻撃を加えていた。


 体力自慢の巨体の魔族だったが、ダメージが蓄積していく中で、攻撃が決まらないことに苛立ちを募らせていく。


「くそ、これでもくらえええええ!」

 こん棒による攻撃が当たらないと考えた魔族は、力任せに大きく床を引き剥がし、それをエクリプスに向かって放り投げる。


 面による攻撃はエクリプスの動きが一瞬止まったタイミングを狙っていた。

 勢いよく飛んでいく床石は直撃するかと思われたが、エクリプスは飛んできた床石を跳躍でかわし、前足でぶち抜いていた。


 床石を破壊すると魔族は予想していたようで、そこへ別の床石を投げる。

「ふはははは、これなら避けられまい!」

 雨あられのように降り注ぐ攻撃。しかし、そこにエクリプスの姿はなかった。


「――なんだと!?」

 エクリプスは破壊すると同時に横に移動して、魔族の側方に回っていた。二つ目の床石によって自身で視界を塞いでしまったため、魔族はエクリプスの動きを確認できなかった。


「ヒヒーン(聖なる馬槍)!」

 これまでで一番の高らかな鳴き声をあげると、エクリプスは身体を光の槍と化させ、魔族へと突進していく。

 踏ん張って攻撃を受け止めようとした魔族だったが、その身体はエクリプスによって吹き飛ばされ、大きく壁にめり込んでしまった。


「ぶるる(ふう、威力を押さえたから死にはしなかったか)」

 エクリプスはキリッとした顔で意識を失った魔族を確認していた。


ヤマト:剣聖LV1000、大魔導士LV950、聖銃剣士LV929

ユイナ:弓聖LV1000、聖女LV931、聖強化士LV902、銃士LV892、森の巫女LV840

エクリプス:聖馬LV1000

ルクス:聖槍士LV949、サモナーLV1000

ガルプ:黄竜LV940

エグレ:黒鳳凰LV904

トルト:朱亀LV883

ティグ:青虎LV891


お読みいただきありがとうございます。

ブクマ・評価ありがとうございます。

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