表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダスト  作者: るりはる
9/24

部活動記録009〈ハートドロップの休日〉

「光。依頼って届いてる?」

 ノートを確認して、

「えーっと・・・四件来ますよ。」

 渡しながら言った。

「そんなに溜まってたんだね。でも影っち、休日に入る前に確認してけど一件だったよ。」

「人気あるから土日関係なく依頼が殺到してるんですよ。ね、先輩❤」

 コロンが隣に座って来た。

「ぶーー。」

 ジト目で光がこっちを見ている。

「ん?どうした、光?」

 コーヒーをこぼれそうなくらいかき混ぜて、

「別にずるいなんて思ってませんよ。」

 一気に飲み干してしまった。

「そこまでいってないが・・・・」

「・・・・・おいしい」

 うつりがほっこりした顔を見せたが、すぐにいつもの無表情になってしまった。

「マイペースですね。で、どれから行きますか?」

「んー、四件もあるから、俺と充。光、鹿島、コロンに分かれて解決していこう。」

 コロンがプラカードを出しながら、

「ちょっと待った!」

「そんなのどこから出したんですか?」

「・・・このかばん」

 大きいボストンバックを出した。

 中には、たくさんのプラカードがあった。

「なになに?『おなか減ったよ!』『しずカニ!』とか色々あるね。なんで?」

「面白くないですか?」

「まあまあ面白いけど・・・」

 珍しく充がうなっていた。

「何が不満なんだ?」

「私とうつりはみんなと関わりがあんまりないから、みんなと一緒に動きたいなって思います。」

「・・・・同意」

 肩を組んでピースしてきた。

「でも、あまり時間がないんだよなー」

「影君、まだ四件なんですし大丈夫ですよ。私たちだけのころなんて、最大十六件だったじゃないですか。」

「十六!?」

「はい。私が六件で影君が十件に分けて三日間で片づけました。」

「先輩すごい❤」

 右腕に飛んできた。

「やめろよコロン。」

 ほっぺを押すものの中々離れない。

「えへへ~」

 すりすりしてきた。かわいい。

「もう、離れなさい!」

 間に無理やり腕を入れて離れた。

「ありがと。光。」

「別にこのくらい・・・」

 そっぽを向きながら言った。

「影っちってなんで【フレア】があんのにわからないんだろう。」

「・・・鈍感すぎ」

「ん?なんか言ったか?」

「言ってないですよきっと。私おなか減っちゃいました。一緒に購買に行きましょ❤」

 そう言って部室を出ていった。

「ちょっと、待ちなさい!」

 続いて光も出ていった。

「・・・・光さん・・・いいのかな?」

「早く言わないとコロンっちに先()されるんじゃ・・・」

「・・・・コロンが本気になったらきっと負けない。」

 そんなこんなで溜まっていた依頼も解決し、

 大きなイベントもすべて終えようとしている十一月。

 最後のイベント。

 紅蘭学園の学園祭『紅学祭』が幕を開ける。

 ♢♢♢

「『紅学祭』何出すの?」

 プリントを見ながら充が話を切り出した。

「去年は先着一名、計三名限定で『最高相談室』をやった。」

「今年は休憩室にでもしましょう。人数も多いので。」

「そうだなー。そうするか。」

「ダメーー!」

 テーブルをたたくと同時に言った。

「なんで休憩室なんですか?せっかく五人もいるんですよ!?」

「うちの場合、できることは相談室か休憩室あたりだな。」

「なんで~~!」

 泣きながらじたばたしている。

「せっかくの『紅学祭』なんですよ?何かやらなくちゃ。」

「まだ結束力が足りないし、二年連続はいけないよ。」

「みんなだったら何でもできるよ!」

「まず、瀬川さんは紅学祭が何かわかってるんですか?」

「大規模の学祭なんじゃないんですか?」

「はっずれー。紅学祭は市の手厚い援助のもと行われる一種のマーケティングの場でもある。多くの企業が見込んだ部活のスポンサーとなって、本来の学祭とともに企業の試作品を試している場なんだよ。ここから売れていった大手企業も多くて、(かげ)では登竜門とも呼ばれててそれから、」

「ああ、もういいです!頭が破裂寸前!助けてせんぱーい!」

 俺の方に援助を求めてきたが、いつものお返しに、

「それから、充の親は大手企業の社長さんで、ここからてっぺんまで上り詰めた第一人者で、その人からの発信によりこの様な大賑わいが起きていて、これによって動くお金はうん千万円とも言われていて・・・」

「影君、もう瀬川さん死んじゃってるよ」

 光が椅子に座って白くなりかけているコロンを指さした。

「もうまっしろです。先輩ひどすぎますよ」

 泣きながらつぶやいている。

「悪かったよコロン。俺が悪かった。いつものお返しにやっただけだ。」

「なら、もっとやってくださいよ、影君」

「光は俺を最低人間に仕立て上げたいのか?」

「そうじゃないですけど」

「とにかく悪かったな、コロン。」

「なら、今度デートしてください❤」

 と、言って遊園地のチケットを差し出してきた。

「ここに行きましょ❤二人っきりで」

「でも、部活あるし、明日だし。」

「あした!?」

 光がチケットを凝視した。

「おー、この日って確か大きいパレードがある日じゃなかった?」

「青柳先輩よくご存じで、」

「ここのパレードはうちの主催だし」

「ほんとだ、『主催、兎桜(うざくら)』ってある。」

「兎桜ってあの!?」

 『兎桜』は、主にゲームを中心としてて、平均五百万本売れているらしい。

「あそこの息子が、青柳先輩なんて・・・嘘ですよね?」

「ほんとだよ。社長の名前調べてみてよ。」

 コロンの画面には、『青柳(あおやぎ) 浩三(こうぞう)』とあった。

「本当だったんですね。じゃあ大金持ち?」

「お小遣いはもらってるけど、みんなと同じだよ。」

「いくらなんですか?」

「月三千円だよ。」

「うん、普通だな。」

「それじゃあ意味ないじゃないですか。」

「いや。困ったときは全力で援助が入ってくるからいいこと尽くしだよ。」

 充がふんぞり返っている。

「・・・・これ買って、青柳先輩?」

「そんなにかわいくいっても買わないよ、瀬川っち」

 急接近してコロンが

「・・・ダメ?」

 キラキラ光線を出しながら言った。

「しょうがないな」

 ほしいモノの値段を見て驚愕してた。

「七万!?さすがにダメ!」

「ぶぅー」と言って戻った。

「影っちもせっかくなんだから行ってみたら?依頼なら今日中に終わらせればいいし」

「そうですよ!青柳先輩もこう言ってるんですから」

 いつも調子で言い寄ってきた。

「いけません!」

 光が声を荒げた。

「文化祭のこともありますし、ダメ、絶対」

「なんで片言なんだ?」

「そこはどうでもいいんです」

「あれれ~西木戸先輩やきもちですか?」

「そ、そ、そんなんじゃないわよ!」

 またいつもの口喧嘩が始まった。

「なんでいつもいつもそういう勘違いをするのですか!」

「お顔が真っ赤っかなんですもん」

 即座に顔を手で覆い隠した

「いいですか影君!なにがなんでもだめですよ!」

「わかったよ」

「えぇ~せっかく買ったんですよ?」

「諦めてください」

「影っち、この依頼解決の参考に行って来たら?」

「ん?『デートスポットの選び方を教えてほしい』か、確かにいいな」

「ほんとですか!やったーー!」

「・・・おめでとう」 

 うつりが静かに拍手してた。

「じゃあ先輩、明日の十時に駅前集合で」

 そう言ってコロンはさっそうと帰っていった。

「なんであんなにはしゃいでいたんだ?」

「影っち、本気じゃないよね?」

「・・・・何がだ?」

 雰囲気が急に悪くなってしまった。

 何かやらかしてしまったのか?

「ここまでくるとなんだかかわいそうになってくるわ、鹿島さん」

「・・・サイテー」

「うんうん」

「え、ちょ、待って。何がまずいんだ?」

「影っちの見えてるオーラには何にも書いてないんですか?」

 みんなの目線が憐みの目線になった。

 全く気付いてなかったようだ。

 このとき(・・・・)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ