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ダスト  作者: るりはる
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部活動記録008〈神谷信哉 爆誕〉

「偽騰影だな。紅蘭学園二年、恋愛相談部活『ハートドロップ』部長。家族構成はお前ひとり。で、合っているな?」

 すました顔だが、真っ黒なオーラを出している。

「だとしたらどうなんだ?」

 そう言ったら迫ってきて、

「通称【フレア】相手の心情を読み取ることのできる能力。それの保持者。」

「そこまで調べがついてるのか。」

「特技なもんで。俺のことは知っているか?」

「予想でいいならきっとな。」

 自然体でいると思うが、これ以上詰められたら動揺を隠しきれないだろう。

「その予想を聞かせてもらおう。」

「神谷信哉。通称【撃退】相手の能力を使用不能にして永遠の激痛を与える。これしかわからない。」

「瀬川優太たちがバックについてその情報量か。張り合いがないな・・・・あいつらに言っておけ、『くだらないことをするな』って」

 くるりと振り向き、そう言い残して帰っていった。

  ♦   

 優太さんから連絡があり、部室で緊急会議が開かれることになった。

「遅いですよ影君。皆さん集まっていますよ。」

「ああ、すまない。宮野先生もいるんですね。」

「本格的にやばいことになってるからな。そのために優太とかのメンバーにも来てもらっている。」

「はじめまして。コロン、優太の父親です。瀬川浩司です。」

「北条琴音です。」

「どうも」

「早速本題だ。」

 宮野先生が俺たち三人に二枚ほどのプリントを配った。

 タイトルは『神谷信哉到着』

 内容を見ると詳しい情報が書いてあった。

「見ての通り、あの人が来ます。この学園から早く逃げて、隠れて、難を逃れるべきです!」

 本気でおびえている。

 そこまで怖い人だっていうのは一度会ってはっきりした。

「データは不完全だが、十分そろっていると思う。行動パターンもおおよその予測してある。あと二日もある。遠く、遠くに逃げてくれ。我らの先導者(・・・)よ!」

 みんなの注目が集まる。

 もう決めてる。

 何と言われても変わらない。

 間違ってても後悔だけはしないと思う。

「いろいろ考えてもらって悪いんですが、戦うと決めました。」

 コロンは驚いて、浩司さんと優太さん、宮野先生はうつむいている。

 光と充は中身を読み終え、悲しい表情をしている。

「実は先日神谷と会いました。正直怖かったです・・・・ですが、やらなきゃいけないことがこれです。親が与えてくれた最初で最後の愛情と考えます。あと二年ほどでこの世から消えてしまう。だから、日本史に残る最大級の戦乱にしてやろうと思います。」

 やっぱり暗い表情のままだ。

「話は勝手に聞かせてもらいました。」

 そこにいたのは国木田会長だった。

「この学園は【ダスト】への理解がある。学校を動かすこともできる。ここの部活は人気度もある。君のためなら動いてくれる人も多いはずだよ?たまには周りに支えられてみたらどうなのかな?」

 チラシを差し出した。

「このチラシを配ったらみんなが喜んで手伝ってくれるはずだ。もちろん僕もやらせてもらいたい。」

 こんなにも頼りがいがあったなんて知らなかった。

 一人の家。

 一人の学校生活。

 一人のご飯。

 すべて一人だったから、人間不信だったから知らない世界だった。

「ありがとうございます。だけど、最後まで一人で戦いたい。一人勝ちはできずとも、両者敗北にしてきます。この事件をみんなが知っててくれれば自分は幸せです。なので会長はみんなにこの事実を広めてほしいです。」

「最後の言葉にならないように気を付けていって来い!我が学園のリーダー!」

「影さんなら大丈夫です。朗報を待っていますね。」

「影っちファイト!」

「帰ったらいっぱいイイ事してやるからな。」

「・・・・・・死なないように。」

「先輩!生きて帰ってきてください!」

「君はもうわしらの希望。精一杯戦ってきなさい。」

「困ったら周りを見なよ。偽騰君。」

 みんなからの言葉は嬉しかった。

 そこに知らない番号から電話が来た。

「・・・もしもし」

「ひさしぶりだね。偽騰影くん。」

「神谷。」

「「「神谷!?」」」

 みんなが驚いた。

「明々後日に駅前のカフェにきてね。おしゃべりをしようよ。」

「・・・・・わかった。三時に会おう。」

「わかった。じゃーね。」

 それだけで切れた。

「・・・・会うの?」

「会ってくる。」

 俺の余命。

 十八歳になる来年の三月。

 卒業式には間に合わない。

 早く卒業式をやってもらおうかな。

 __________________________________

 約束の日

「待ってたよー偽騰影。」

「悪いな。」

 わくわくしてる感じだった。

「優太たちが集めた情報を確認したいんだ。いいかな?」

「どうぞ。」

 プリントを渡した。

「ふーん。やっぱりこんなもんでよね。これで僕に歯向かおうなんてよく思ったよね。一つだけいいことを教えてあげる。」

「なんですか?」

「【ダスト】の種類は七つ。君が知っているのは僕のを含めて四つ。優太さんは【消滅】という能力を知っている。あと二つ。僕も知らない。これらの能力をある方法ですべて奪ったらこの世のすべてを超越できるくらいのすごい能力に進化するらしいよ。」

「超越・・・・」

「そう。いいよね~超越。あともう一つ、【撃退】の能力は、一度だけ、能力者を死に至らせてしまうものなんだよ。間違わないでね。」

「・・・・はい。」

 ほかに何にも言えなかった。

「気を付けてね。僕を人殺しにしないでね」

「こっちからもいいか?」

「なになに?」

「戦いを来年の三月十日にしてほしい。」

「まだやり合うの?いいけど。恐怖心がないってのも辛くて、悲しくて、恐ろしいもんだよ。君の人生みたいに。ふふっ。」

「その言い方はやめろ。」

 いつの間にか胸ぐらをつかんでいた。

 そして、強く言ってしまった。

「謝るから離してくれよ。周りも注目してるし。」

 写真を撮ったりひそひそ話していた。

「すまない。」

 手を放し、水を飲んだ。

 そこに僕のアイスコーヒーと、神谷のミルクティーが来た。

 そしてバイトの店員さんがメモを渡してきた。

「あなたは神に嫌われている。

 それは人生を狂わせるために与えた。

 幸せになんてなれるわけがない。

 自分の罪を見つめ直すのが身のためだ。」

 こんな暗号の意味が分からなかった。

「何を貰ったの?見せてよ。」

 子供のように覗いてきた。

「やめてくれ。」

「ま、いいけどさ。あんまり動きすぎたら本気で潰しに行くから覚悟してね。付き合ってくれてありがとう。」

 代金を置いて帰って行った。

「言い忘れ。さっきのヒントは『神』と『罪』っていうワードに注意して解読してね。」

 すべてを見抜かれている。

「ありがとう。注意するよ。」

 手を振って本当に別れた。

「なんでお前たちがここにいるんだ?」

 斜め前の席にメンバー全員が私服で勉強会をしていた。

 周りから見たら。

「全部聞こえたのか?」

「あんまり聞こえなかったんですが、大体は聞きました。」

「影っち激しかったね。みんなびっくり。」

「あんな影先輩もカッコよかったです。さらに惚れました。」

「・・・・・光先輩・・・メモもらってた時に水こぼして大変だった。」

「加島さん何言ってるの!」

 部室みたいな空気だった。

「じゃなくてなんでいるんだ?」

 みんなそっぽを向いた。

 なんだかんだで光が喋った。

「もし、【撃退】が発動されてしまうことがあったら守りたいから。あと、気になりますので。」

「心配しなくてもいいのに。」

 そんなこんなですぐに家に戻った。

 ♦

「ただいまー。って、誰もいない・・」

「おっかっえりー!!遅いよ!お姉ちゃんになんてことするのよ!」

 姉さんがやってきた!

 姉さんのダイビングハグ

 偽騰影はどうする?

   →・かわす

   ・迎える

      ・殴る

     偽騰影のかわす

 かわし切れなかった

  一撃必殺!!

 偽騰影は床に押し倒された

「ほんとにほんとに遅い!お姉ちゃんが来ることを察して午後二時半までに帰ってくるのがこの家のルールよ!全く何してたの?もう午後の四時よ!次やったらもう心配で仕事を影ちゃんの高校の教師になるよ!免許だってあるから可能なんだよ?今日は罰としてお姉ちゃんとの添い寝を命じます。そして明日は絶対お姉ちゃんと一緒に行動するように!」

「ピシっ」っと指を立てて言った。

「わかったよ。どこに行くの?添い寝はなしで」

「えぇ~、むー。しょうがないな。諦めるよ。で、お出掛け先は・・・・な・い・しょ❤

 さ、一緒に映画見よ!」

 スキップしながらリビングに戻っていった。

 僕を溺愛してる姉ちゃんは後数か月の命だってことを知らないんだろうな。

 知ったらどんな顔をするんだろうか?

 そんなことを考えながら映画を見た。

 姉さんに寄り沿いながら、ね。


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