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ダスト  作者: るりはる
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部活動記録006〈雨が来たら大地は荒れる〉

 今回の依頼内容をざっくり説明すると、「略奪したい」ということだ。

 この依頼人は独占欲が強く、耐えきれなくなった三年の彼氏さんは強引に別れを告げ、二年の誰かと付き合ったそうだ。

 詳しい内容は、その彼女を捕まえボコりたいそうだ。

 もちろんさせない。

「なんでやったらダメなんですか?」

「暴力事件になったらこの部活にも影響が及ぶから、存続の危機になりうる。」

「私という依頼者とこの部活、どっちが大切?」

「部活に決まっている。」

 こいつの言っていることが無茶苦茶すぎる。

「ともかく、この部活には迷惑をかけないようにします。その方法を一緒に考えてくれたらいいんです!お願いいします!」

 そうなったらもう依頼じゃなく手伝いだ。

 なかなか考え物だ。

 光の意見はというと、

「そんなのはもう依頼でないです。お引き取りをお願いします。」

 ドストレートだった。

 みんなの顔がフリーズした。

 意外すぎて五月雨なんて泣きそうになっているじゃないか。

「なんでそんなこというんですか~?」

 涙声でそう言い、僕の方に助けを求めている。

 もし助けたら光が怖いし、助けなかったら五月雨が何をしでかすかわからない。

 この状況を打破したい。

 そう思っていた時、

「・・・・なら・・・依頼にしたら・・・」

 鹿島が当たり前で、考えていなかったことを言った。

「・・相手の弱みを握って・・・脅す!」

 ・・・・・予想と全く違うことを言い出した。

 おとなしい鹿島が怖いことを言った。

 第二次フリーズ期が来た。

「え、え~っと例えば?」

 充が聞いた。

「・・・・誰かが・・・夜な夜な・・・一人部屋で・・エアーギt・・・」

「その考えいいな!やろう!」

 大きい声で遮った。

「充、汗かいてるぞ?」

「そ、そう?」

 汗をぬぐってお茶を飲みほした。

「・・・ともかく・・弱みは強い」

 鹿島って何考えているかわからないから怖い。

「弱みを握るのはあまり気が乗りませんが依頼ならしょうがないです・・・影君がいいなら。」

「結局俺かよ!」

 そういうと光が凝視して

「この部活は誰のもの~?」

「ああ俺のだよ!」

「影君!みんなのですよ!」

「影っちはまったー!笑えるわー!」

「うるさい充!」

「ぷぷっ、俺の、ぷぷっ!」

「コロンもやめろ!」

 調子が狂う。

 コロンたちが来てからいつもこうだ。

「そういえばいつから『コロン』って呼ぶように?」

「いっいつでもいいだろ」

 目が殺し屋の目だった。

「まあ、依頼となら断る理由がない。それでいいな、五月雨さん?」

「はい!お願いします!」

「よっしゃやるかみんな!」

「了解!」

「・・・・頑張る」

「やりましょ先輩❤」

「いきましょう!でも影君、瀬川さんの件は後でゆっくり」

「あれ~?いつから先輩の彼女になったんですか?西木戸先輩❤」

「!!うるさいです。」

 顔が真っ赤になっている。

 なぜそんなに照れる?

「・・・・鈍感男」

「はぁーこれだから影っちは」

 なぜそこまで言うんだ

「でも具体的には?」

 充の問いに鹿島が答えた

「・・・・身辺調査から平均スケジュール、趣味から何から何まですべてを探る。」

「・・・却下です」

「うう、」

 泣きそうな声を出した。

「でも、それしかないんじゃないですか?」

「そうだけど」

「要するに彼女を見つけたらいいだろ。五月雨さん彼氏の名前は?」

「神野信哉です」

「神野・・・信哉?コロン」

「きっとね」

「どうしたんだ?」

 二人で深刻そうな顔をしている。

「神野信哉って【ダスト】の持ち主。名を【撃退】。能力者かどうかが分かり、永遠全身に激痛が走り、能力が使えなくなります。」

「・・・・最凶の能力〈死を告げるもの〉とも言われている」

「恐ろしいですね」

「影を全力で守んなきゃだね」

「もちろん弱点もあります。」

「弱点とは?」

「能力者以外にかけたら死にます。あと、一生に3回までしかかけれません。」

「十分すぎる」

「・・・・めんどくさいことになった」

 空気が重くなった時に、

「みんな邪魔するぞ」

 入ってきたのは宮野先生だった。

「どうしたそんな深刻な顔して。せっかく客が来ているのに」

 一緒にいるのは僕が一番頼りにしている人物だった。

「偽騰君久しぶりだね。」

「お久しぶりです優太さん!」

「鹿島ちゃんとコロンも久しぶり」

「・・・どうも」

「久しぶり」

 二人にも挨拶をした。

「はじめまして。西木戸光です。」

 優太さんは光の方を見て

「君が光ちゃんか。偽騰君から聞いてるよ。初めまして」

「優太さんってコロンたちとも知り合いなんですか?」

「そうだよ。というかコロンの兄だ。」

「「そうだったんですか!?」」

 充と一緒に驚いた。

「なんで言ってないの?お兄ちゃん」

 コロンが優太さんを軽くたたいた。

「ちゃんと自己紹介してないね。改めて瀬川優太です」

「で、なんで優太さんがいるんですか?」

「そもそもここの卒業生だし、宮野からコロンがここに来たって聞いて気になったんだ。」

 なんだか心配そうな目と不安のオーラを出している。

「コロンなら仲良くやってますよ。迷惑は掛かっていますけど」

 この発言にコロンが反応して、

「先輩!私がいつかけてたんですか?」

「入部して次の日」

「それは・・・」

 そう言って目線をそらした。

「いや、コロンじゃなくお前のだ、偽騰君。」

 この不安の矢先は俺だった。

「【フレア】にも【ルート】にも、全能力に言えることなんだが、暴走期に入ってしまうことが必ずあるんだ。」

「というと?」

「私が説明します。」

 どこから出したかわからないがメガネをかけた。

「暴走期とは、過度のストレスや家庭の崩壊などの日常の破壊が主な原因とされています。それがあることで能力が予想できない効果が発動するんです。今まであったのは私の能力が暴走し、学校の全人間が人の悪口をその人の前で言ってしまうというものだったんです。先生生徒関係なく」

「うわーー」

 みんなが引いた。

「それって榊小の学校崩壊のこと?」

「よくご存じで」

「それなら知ってる!三、四か月間閉鎖になったやつっすよね」

「はい!」

 元気よくコロンが返事した。

「あくまで予想だけど、学校関係者全員のオーラが襲ってきて三か月間ほど動けない程のことになると思う。」

 優太さんがそう言った。

 それを聞いて光が泣いた。

「いやー!」

「まだなってないから安心してよ。」

 光の背中をさすっている。

「やっぱりできてんじゃ・・・」

「あの鈍感先輩が?」

「・・・・ない」

「絶対ないよあの偽騰君が」

 ひそひそ話している。

「なに話してんのみんなして?」

「「「「なんにも!」」」」

 集まっていたみんなが同時に散っていった。

「ともかくしっかりな。偽騰影」

 優太が俺の肩をたたいた。

 その時だった。

 目の前が真っ白になって何にも考えられなくなったのは。

 目が覚めた時には部室に嵐が過ぎたようになっていて、コロン、鹿島、光が倒れていて優太さん、宮野先生、充の姿はなかった。


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